ページランク(PageRank)は、1998年にGoogleの創設者ラリー・ペイジによって開発された、Webページの重要度を評価するアルゴリズムです。ウェブページ間のリンクを投票とみなし、多くの重要なページからリンク(=被リンク)されているページほど、重要度が高いと判断されます。
ページランクの仕組みは、一言で言うと「被リンクの数と質に基づいてウェブページの重要度を評価する」というものです。
初期のページランクは、被リンクの数と質を基に、Webページを0から10までの11段階で評価していました。被リンクが多いページや、重要なページからの被リンクが多いページほど、ページランクが高くなる仕組みでした。
2016年以降、ページランクは非公表となり、Googleはページランク以外のアルゴリズムも導入したため、ページランクの相対的な重要性は低下したと言えるでしょう。ただ、それでも現在はドメインパワーという言葉で表されるように、ページランクに近い考えでSEO施策を実行する動きは今でも有効です。
そのため、SEO担当者としてページランクの仕組みを理解しておくことは依然としてと言えるでしょう。具体的には、SEO施策において被リンクが必要となる背景には、この記事で説明したページランクの概念があります。
そこで、本記事では、ページランクの歴史や仕組み、そして、その変遷を紐解きながら、現代のSEO対策における重要性について解説します。
特に、ページランクが非公表化された現在、どのようにしてその影響力を把握し、サイトの評価向上に繋げれば良いのか、具体的なツールや施策もご紹介します。
ページランクを正しく理解し、効果的なSEO対策を実践することで、検索上位表示という目標達成に大きく近づきましょう。
ページランク(PageRank)とは?
ページランク(PageRank)は、1998年にGoogleの創設者ラリー・ペイジによって開発された、Webページの重要度を評価するアルゴリズムです。ウェブページ間のリンクを投票とみなし、多くの重要なページからリンク(=被リンク)されているページほど、重要度が高いと判断されます。
初期のページランクは、被リンクの数と質を基に、Webページを0から10までの11段階で評価していました。被リンクが多いページや、重要なページからの被リンクが多いページほど、ページランクが高くなる仕組みでした。
Google は、さまざまなシステムを導入してページ間の相互リンクを理解し、ページの内容と、検索クエリに対して最も有益な情報を提供するページを判断しています。その中でも PageRank は、Google がサービスを開始した当初から使用されているコア ランキング システムの一つです。興味のある方は、オリジナルの PageRank の研究論文および特許をご覧になり、詳細をご確認ください。PageRank の仕組みは当時から大きく進化しており、コア ランキング システムの一部として機能し続けています。
引用元:Google 検索ランキング システムのご紹介 | Google 検索セントラル
ただ現在では、ページランクはGoogleの検索アルゴリズムにおける数百の要素の一つに過ぎないとGoogle公式は明言しています。
ページランク(PageRank)の仕組み
被リンクの数と質に基づいてWebページの重要度を評価する仕組み
ページランクの仕組みは、一言で言うと「被リンクの数と質に基づいてウェブページの重要度を評価する」というものです。具体的には、以下の二つの指標で判断するものです。
評価基準 | 説明 |
---|---|
数 | ・他のページからどれだけ多くのリンクを受けているかを示します。 ・リンクが多いほど、重要度が高いと評価されます。 |
質 | ・リンク元のページの質も評価に影響します。 ・権威のあるサイトや関連性の高いページからのリンクは、より重要視されます。 |
これらの要素を考慮して、ページランクは0から10までの11段階で評価されます。数字が大きいほど、そのページは重要度が高いと判断され、検索結果の上位に表示されやすくなります。
さらに、被リンクを送信しているページのページランクが高いほど、その被リンクの質が高いと判断されます。つまり、権威のあるサイトからの被リンクは、より重要度の高い被リンクとして評価されるのです。
※元々は被リンクの量だけでみていたがスパムリンクが発生したため現在はリンクの質を見るようになっている。
ページランク(PageRank)の計算式
ページランク (PageRank) は、Google がウェブサイトの重要度を評価するために開発したアルゴリズムです。このアルゴリズムは、Webページ間のリンク関係を分析し、より多くの重要なページからリンクされているページほど、重要なページであると判断します。
計算式としては下記の通りです。
- PR(A) = (1-d) + d (PR(T1)/C(T1) + … + PR(Tn)/C(Tn))
上記の計算式の各種構成要素について説明すると以下の表にまとめることができます。
構成要素 | 説明 |
---|---|
PR(A) | ページAのページランク。計算したいページの重要度を表します。 |
d | ダンピングファクター。Webページ閲覧者がランダムに他のページに移動する確率を表し、通常は0.85に設定されます。(1-d)は、ダンピングファクターを考慮したランダムなジャンプの確率。 |
PR(T1), …, PR(Tn): | ページAにリンクしているページ (T1, …, Tn) のページランク。 |
C(T1), …, C(Tn) | ページAにリンクしているページ (T1, …, Tn) から出ているリンクの総数。 |
ここでは、計算式の詳細には触れませんが、被リンクの数が多いほどページランク(PR(A))が高くなるという点を理解しておけば問題ありません。
ページランク(PageRank)を上昇させるためのSEO施策
ページランクを上げるためには、外部対策と内部対策の両方をしていく必要性があります。具体的には下記の二つの方法があります。
施策①|質の高いコンテンツの作成
検索エンジンのランキングにおいて重要な要素であるページランクを高めるためには、ユーザーの検索意図とニーズを的確に捉え、それに応える質の高いコンテンツを作成することが不可欠です。
ユーザーにとってより価値のあるコンテンツを制作していれば、自然と被リンクも集まりやすくなります。質の高いコンテンツは、ユーザーの満足度を高めるだけでなく、検索エンジンからの評価も向上させ、ページランクの上昇に大きく貢献します。
施策②|被リンクの獲得
被リンクとは、他のWebサイトから自分のWebサイトへのリンクのことです。被リンクは、いわばWebサイトの人気投票のようなもので、被リンクが多いほど、GoogleはそのWebサイトを重要だと判断し、ページランクが高くなります。
ただし、闇雲に被リンクを集めるだけでは現在の検索アルゴリズムに対して効果はありません。質の低いWebサイトからの被リンクは、逆にページランクを下げる可能性もあるため注意が必要です。
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施策③|内部リンクの最適化
内部リンクを設置する際には、関連性の高いページ同士を繋ぐことが重要です。例えば、ある記事の中で言及した内容について、より詳しく解説している別の記事へのリンクを設置することで、ユーザーの理解を深めるとともに、クローラーが関連ページを見つけやすくすることができます。
また、主要なページは、ナビゲーションメニューにリンクを設置することで、ユーザーがアクセスしやすくなるだけでなく、クローラーも重要なページとして認識しやすくなります。内部リンクのアンカーテキスト(リンクの文字列)に適切なキーワードを含めることも、ページランクの向上に効果的です。
ページランク(PageRank)アルゴリズムの変遷
続いて、ページランクの変遷とその歴史について解説していきます。ページランク自体は1996年頃にGoogleの創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが研究プロジェクトの一環として開発したものです。そこから、アップデートを繰り返して精度が上がっていきました。以下に年表を添付したのでぜひみてみてください。
フェーズ①|Googleにページランク(ランダムサーファーモデル)が搭載
GoogleへのPageRankの導入は1998年の出来事です。スタンフォード大学のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって考案された「ランダムサーファーモデル」というアルゴリズムをベースとしていました。
ランダムサーファーモデルは、Web上をランダムにクリックしてサーフィンするユーザーを想定したものです。つまり、被リンクが多いページや、権威ある(PageRankの高い)ページからの被リンクが多いページほど、ランダムサーファーが訪れる確率が高くなります。この訪問確率をPageRankとして数値化することで、ページの重要度を評価しました。
ただ、ランダムサーファーモデルは被リンクの数のみで重要性を測ったため、コンテンツの品質を無視した被リンク獲得が横行するきっかけになりました。
フェーズ②|リーズナブルサーファーモデルの導入とページランクの進化
ただ、ランダムサーファーモデルには課題点がありました。それは、ウェブサイトの運営者によってページランク(PageRank)が意図的に操作されてしまうリスクがあったことです。いわゆる「リンクスパム」と呼ばれる行為です。
そこで、2004年にユーザーの実際の行動をより反映したリーズナブルサーファーモデルが実装されました。このモデルは、リンクの位置、方法、数量、さらにリンク先の構造までも解析します。これにより、リンクスパムの実施のハードルが上がりました。
リーズナブルサーファーモデルでは、ページの重要度を一つ一つ決定するという考え方を取っています。例えば、ページの上部に表示される目立つリンクや、興味を引くアンカーテキストを持つリンクは、クリックされる可能性が高いと判断され、その分、重要度も高くなります。
これにより、クリックされやすいリンクほど多くのPageRankを流し、クリックされにくいリンクほどPageRankの流出量を減らすという仕組みを導入しました。
フェーズ③|信頼性への評価とリンクスパム対策強化
2006年頃、ページランクはさらにアップデートされ、シードセットが導入されました。シードセットとは、政府系サイトなどの信頼性の高いページのリストのことです(図中の「SET OF SEED PAGE 102」がそれに該当します)。インターネット上に数多あるWebサイトの中でも、シードセットからリンクを受けているサイトには信頼性スコアを与えることで、低品質なサイトを排除したのです。
シードセットは、信頼できるページを基準とすることで、信頼性の低いページからの被リンクによる悪影響や、スパム行為によるPageRank操作を防ぐ役割を担っています。
フェーズ④|ページランクの公開が停止される
2013年に、Google Toolbarでのページランクの表示が終了しました。Googleは2016年4月にページランクスコアの公開を終了し、それ以降、Googleツールバーなどを通じてページランクを確認することはできなくなりました。
ただし、ページランク自体はGoogleの検索アルゴリズムの一部として、今でもウェブページの評価に利用されていると考えられています。つまり、ページランクは非公表ですが、なくなったわけではありません。
ページランクが非公表になった背景には、SEO対策業者などがページランクを過度に重視し、検索結果のランキングを操作しようとするケースが増えたことが挙げられます。Googleは、ユーザーにとって本当に価値のある情報を提供するために、ページランクを非公表とすることで、より多様な要素を考慮した検索アルゴリズムへと進化させています。
ページランク(PageRank)を調査することができるツール
現在、Googleは公式にページランク(PageRank)を後悔していません。しかし、ページランクの概念に基づいた代替指標を調査できるツールが、各社から提供されています。ここでは、NYマーケティングがおすすめするツールを紹介していきます。
ツール名 | 指標 | 特徴 |
---|---|---|
ahrefs | DR(ドメインレーティング) | ・ドメインオーソリティ(DA)とページオーソリティ(PA)のチェック ・シンプルで使いやすい。無料で利用可能。 |
Moz(モズ) | DA(ドメインオーソリティー) | ・キーワード調査 ・サイト監査 ・被リンク分析 ・ランクトラッキングなど |
Ubersuggest | ドメインオーソリティ(DA) | ・キーワード調査 ・競合分析 ・被リンク分析 ・サイト監査など |
Majestic(マジェスティック) | サイテーションフロー(CF)、トラストフロー(TF) | ・被リンク分析 ・サイトエクスプローラー ・リンクコンテキストなど |
ツール①|ahrefs
SEO対策に欠かせないドメインの強さを数値化してくれるのが、Ahrefs社が提供する無料ツール「Domain Authority Checker」です。使い方は簡単で、トップページの検索窓に対象のWebサイトURLを入力し、「チェック」ボタンをクリックするだけ。すると、Ahrefs独自の指標である「ドメインレーティング(DR)」が表示され、そのサイトのドメインパワーを把握することができます。
この「Domain Authority Checker」は、世界中のSEO専門家やマーケターから信頼されているAhrefsの膨大なデータに基づいており、その信頼性は非常に高いと言えます。Ahrefsは、Googleに次ぐ世界第2位のクローラー稼働率を誇る有料SEOツールで、Webサイト分析に必要な情報を網羅しています。
ツール②|Moz(モズ)
SEO対策に欠かせないドメインの強さを測るなら、アメリカ発のSEOツール「Moz」がおすすめです。世界中のSEO専門家やマーケターに愛用されているMozは、信頼性の高いデータに基づいた分析が可能です。
Mozの「Link Explorer」機能を使えば、URLを入力するだけで、Webサイトのドメインパワーを「Domain Authority(DA)」という指標で簡単に計測できます。DAは1から100までの数値で表され、数値が高いほどドメインパワーが強いことを示します。
Mozの利用には無料の会員登録が必要ですが、登録後は月に10回まで無料でDAをチェックできます。競合サイトとの比較や自社サイトの改善点を見つけるなど、Webサイトの成長戦略に欠かせない情報を手軽に入手できます。
ツール③|Ubersuggest
SEO対策に役立つWebサイトのドメインパワーを無料で簡単に知りたいなら、「Ubersuggest」がおすすめです。会員登録不要で、メインページの検索窓にサイトのURLを入力し、「SUBMIT」ボタンをクリックするだけで、すぐに「ドメインオーソリティ(Domain Authority)」を確認できます。
Ubersuggestは、基本的な機能を無料で利用できるのが魅力ですが、無料の会員登録をすることで、さらに多くの機能を利用できるようになります。例えば、競合サイト分析やキーワード調査など、SEO対策に必要な情報をより深く掘り下げることができます。
より詳細な分析や高度な機能が必要な場合は、月額3,000円からの有料プランも用意されています。また、4万円程度の買い切りプランもあり、長期的に利用したい方やコストを抑えたい方におすすめです。
ツール④|Majestic(マジェスティック)
競合サイトとの比較でWebサイトの強みを把握したいなら、英国発のSEOツール「Majestic」がおすすめです。Majesticは、独自の指標を用いてWebサイトのドメインパワーを分析できるツールで、無料会員登録をするだけで最大10件までのWebサイトを一覧で比較できます。
使い方は簡単で、トップページの検索窓に調べたいサイトのURLを入力し、虫眼鏡マークをクリックするだけ。すると、「トラストフロー(Trust Flow)」と「サイテーションフロー(Citation Flow)」という2つの指標が表示されます。
ツール | 特徴 |
---|---|
トラストフロー(TF) | 被リンク元のWebサイトの信頼性を示す指標で、数値が高いほど質の高いWebサイトからリンクを受けていることを意味します。 |
サイテーションフロー(CF) | 被リンクの数を示す指標で、数値が高いほど多くのWebサイトからリンクを受けていることを意味します。 |
Majesticの特徴は、他のSEOツールとは異なり、リンクの「質」と「量」を分けて数値化している点です。これにより、競合サイトとの比較が容易になり、自社サイトの改善点や強化すべきポイントを明確に把握できます。
まとめ
Googleのページランクは、Webページの重要度を評価するアルゴリズムであり、SEO対策において重要な要素です。かつては被リンクの数と質が主な評価基準でしたが、現在は数百の要素が考慮されています。
ページランクは、被リンクが多いページほど重要視されるという基本的な仕組みは変わっていません。質の高いコンテンツは自然に被リンクを集めやすく、ページランク向上に貢献します。
ページランクを上げるには、質の高いコンテンツの作成、被リンクの獲得、内部リンクの最適化が重要です。質の高いコンテンツはユーザーの検索意図とニーズに応え、被リンクの獲得を促進します。被リンクは、信頼性が高く権威のあるWebサイトからのものが特に効果的です。内部リンクは、クローラーの巡回を助け、ページランクを適切に分配します。
Googleはページランクを非公開にしていますが、代替指標を提供するツールは存在します。これらのツールを活用し、SEO対策に役立てることが可能です。