内部リンクは、Webサイト内の異なるページ同士を結びつけるリンクです。これを効果的に活用することで、検索エンジンのクローラーがサイト内を巡回しやすくなるだけでなく、ユーザーの回遊率向上にも繋がり、結果としてウェブサイト全体の評価向上に貢献します。
しかしながら、内部リンクの効果的な活用方法を理解していない、あるいは適切に設置できていないケースも見受けられます。
そこで、本記事では内部リンクの基本的な知識から、SEO効果を高めるための具体的な活用方法、そしてウェブサイトに最低限設置すべき内部リンクの種類まで、包括的に解説いたします。
この記事を読むことで、以下の内容を理解することができます。
- 内部リンクの定義と、外部リンクとの違い
- 内部リンクがSEOにもたらす効果
- 内部リンク構造を最適化するための考え方
- 内部リンク設計の際に役立つ概念
- ウェブサイトに設置すべき内部リンクの種類
内部リンクの前提知識
内部リンクとは?
Webサイト内の別ページへ移動するためのリンクを内部リンクといいます。内部リンクは、サイトに訪れたユーザーが必要とするサイト内の情報にアクセスできるようにするために設置されます。
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SEO対策をする上でも、内部リンクを適切に設置することは重要です。検索エンジンがサイトの構造を理解しやすくなり、高い評価を得られることに繋がります。結果として、検索順位に良い影響を与えることもあります。
内部リンクと外部リンクの違い
内部リンクと外部リンクの大きな違いは、リンク先が自サイト内か、外部サイトかという点です。
内部リンクは、ユーザーにサイト内を回遊してもらい、より多くの情報に触れてもらうことを目的としています。一方、外部リンクは、ユーザーに関連情報を提供したり、サイトの信頼性を高めることを目的としています。
項目 | 内部リンク | 外部リンク |
---|---|---|
リンク先 | 自サイト内のページ | 別のウェブサイトのページ |
目的 | サイト内の回遊性向上、SEO効果向上 | 関連情報の提供、サイトの信頼性向上 |
外部リンクも内部リンクもどちらも、SEO対策を進める上で非常に重要なことは変わりません。しかし、それぞれ目的が異なるためしっかり頭に入れてきましょう。
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なぜ内部リンクを設置するとSEOに効果があるのか?
内部リンクを設置することで、大きな効果を得ることができます。実際に、海外の調査(ZYPPY SEO)によると、内部リンクをサイト内に設置した数とアクセス数に強い相関関係があることがわかっています。
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この調査では、1,800のWebサイトの2,300万の内部リンクを調査しているため、信憑性は高いと言えるでしょう。
内部リンクが多いページはトラフィックが多くなる傾向があります。
引用元:23 Million Internal Links – SEO Case Study
たとえば、当社のデータセットでは、内部リンクが 0 ~ 4 個の URL の場合、Google 検索からのクリック数は平均 2 回のみでしたが、内部リンクが 40 ~ 44 個の URL の場合、その 4 倍のクリック数がありました。
上記のような調査からも分かるように内部リンクを設置することで、SEOに有利な影響を与えることができます。これは、内部リンクによって得られる以下の3つの効果によるものです。
理由①|クロールされやすくなるから
クローラーとは、Googleなどの検索エンジンがWebサイトを巡回し、情報を収集するためのプログラムです。検索エンジンの仕組み的に、クローラーに回ってもらえないとまず検索エンジン上に表示されることがありません。
そこで、内部リンクを適切に設置することで、クローラーがウェブサイト内をスムーズに巡回できるようになり、結果としてサイト全体のインデックスが促進されます。
Google は、ページの関連性を判断し、クロールする新しいページを見つける際にリンクをシグナルとして使用します。
引用元:Google の SEO リンクに関するベスト プラクティス | Google 検索セントラル
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理由②|遷移先にリンク評価を渡すことができるから
内部リンクを貼ることで、リンク元のページの評価をリンク先のページに渡すことができます。これを「リンクジュース」と呼びます。
重要なページにリンクを貼るように内部リンクを設計することで、リンクジュースがそのページに集まり、検索エンジンがそれを重要なページとして評価するようになります。
理由③|ユーザービリティを高めることができる
ユーザービリティとは、ウェブサイトの使いやすさを指します。内部リンクを効果的に活用することで、ユーザーが求める情報にスムーズにアクセスできるようになり、ウェブサイトの利便性向上に繋がります。
ユーザービリティーを高めることで、以下のような効果を得ることもできます。
- 回遊性の向上
- 滞在時間の上昇
回遊性や滞在時間は、直接的にSEOに関係を与えることはありません。ジョンミュラー氏も、以下のように各ページの指標に基づいて評価を行うことは難しいと述べていることからもわかります。
ユーザーの行動を分析する際は、ものすごく大雑把なレベルで見ているんです。何百万というサイトや検索結果をまとめて分析すれば、ある程度の傾向は掴めます。でも、個々のページレベルで細かく分析するのは、現実的に難しいんですよ。
English Google Webmaster Central office-hours hangout
しかし、直接的には順位上昇に寄与しないとはいえ、間接的に影響を与えることは言うまでもないでしょう。
内部リンクの貼り方のコツ
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内部リンクの貼り方のコツには以下の3つがあります。
貼り方①|多様なアンカーテキストを利用する
アンカーテキストとは、リンクが設定されている文字列のことです。「詳しくはこちら」のような、ありきたりなアンカーテキストではなく、リンク先のページ内容がわかる具体的なキーワードを含めるようにしましょう。
良いアンカー テキストとは、内容が具体的で、適度に簡潔で、テキストが掲載されているページとリンク先のページの両方に関連があるテキストです。リンクに文脈を与え、読み手の期待に沿うものです。 アンカー テキストが良好であるほど、ユーザーはサイト内のナビゲーションが容易になり、Google はリンク先のページ内容を把握しやすくなります。
引用元:Google の SEO リンクに関するベスト プラクティス | Google 検索セントラル
例えば、以下のように、ページの内容に合わせてアンカーテキストを使い分けることが重要です。
パターン | アンカーテキスト |
---|---|
悪い例 | SEO対策について詳しくはこちら |
良い例 | SEO対策における内部リンクの重要性についてはこちら |
このように、多様なアンカーテキストを使用することで、ユーザーと検索エンジンの双方にとって有益な内部リンクを構築できます。
貼り方②|URLが正規化されているか
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正規化とは、複数のURLで同一ページにアクセスできる状態を、1つのURLに統一することです。正規化されていない場合、検索エンジンの評価が分散してしまう可能性があります。
正規化とは、そのコンテンツを代表する正規 URL を選択するプロセスです。最終的に、重複するページの中で Google が最も代表的と考えるページの URL が正規 URL になります。重複除去とも呼ばれるこのプロセスにより、重複コンテンツの中から 1 つのバージョンのみを検索結果に表示できるようになります。
引用元:URL 正規化とは何か | Google 検索セントラル
内部リンクを設定する際は、必ず正規化されたURLを使用しましょう。正規化の方法としては、canonicalタグや301リダイレクトなどが用いられます。
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貼り方③|他のページから必ずリンクされている
孤立したページを作らないように、必ず他のページからリンクを設定しましょう。サイトマップを作成し、サイト構造を可視化することで、孤立したページをなくし、適切な内部リンクを設定することができます。
また、パンくずリストを設置することも、ユーザーの回遊率向上に役立ちます。
内部リンク構造を最適化させるための考え方
ウェブサイトのSEO効果を高めるためには、内部リンク構造を最適化することが重要です。内部リンクを戦略的に配置することで、検索エンジンのクローラーがサイト内を巡回しやすくなるだけでなく、ユーザーの回遊率向上にも繋がり、結果としてウェブサイト全体の評価向上に貢献します。
効果的な内部リンク構造を構築するための考え方は以下の点が挙げられます。
考え方①|重要なページにリンクを集める
Webサイトの中で特に重要なページには、多くの内部リンクを集中させましょう。この考え方を体系的にまとめたのがトピッククラスターモデルです。
TOPページはもちろんのこと、重点的に順位上昇を狙いたいページ(ピラーページ)を軸に、関連性の高いページと内部リンクで結び付けることで、リンクジュースを効率的にピラーページへ流すことができます。
![](https://search-engine-pirates.co.jp/wp-content/uploads/2024/12/image-6-1024x768.png)
トピッククラスターのモデルでは、ニッチなキーワードをめがけてばらばらに制作していたブログ記事をトピックエリアごとに分類し、そのトピックに関する全般的な概要をまとめたウェブページを柱に据え、同じエリアに分類される具体的で掘り下げたブログ記事とをハイパーリンクで連結しました。
引用元:トピッククラスターを活用したブログの最適化|Hubspot
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考え方②|リンク先とのページとの関連性を意識する
内部リンクを貼る際は、リンク元のページとリンク先のページの内容に関連性があるようにしましょう。
関連性の高いページ同士をリンクで繋ぐことで、ユーザーはスムーズに情報を得ることができ、サイトへの滞在時間増加に繋がります。
考え方③|リンクのない孤立したページを作らない
Webサイト内に、他のページからリンクされていない孤立したページがあると、クローラーがそのページにたどり着くことができず、検索エンジンにインデックスされない可能性があります。
すべてのページが、何らかの形で他のページとリンクで繋がっている状態を保ちましょう。例えば、サイトマップを作成し、サイト内のすべてのページへのリンクを掲載することで、孤立したページをなくすことができます。
考え方④|ユーザーが欲しいと感じる箇所に設置する【最重要】
内部リンクは、ユーザーが「もっと詳しく知りたい」「関連情報も見てみたい」と感じたタイミングで、自然な形で設置することが重要です。
ユーザーの行動を予測し、適切な場所に内部リンクを配置することで、ユーザーの満足度向上に繋がるだけでなく、サイトの回遊率向上にも貢献します。
トピッククラスターモデルなどのテクニックについても触れてきましたが、あくまでユーザー視点を軸に内部リンクを設置しなければ、Googleをはじめとした検索エンジンから正当な評価を得ることは難しいと、Googleダイヤモンドプロダクトエキスパートの鈴木謙一氏は述べています。
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最低限サイトに設置すべき内部リンク
ウェブサイトを構築する上で、内部リンクはユーザービリティ向上とSEO効果の両面から非常に重要な要素です。特に、サイトの構造を理解させ、ユーザーの回遊を促すためには、いくつかの内部リンクを最低限設置する必要があります。
ウェブサイトに設置すべき内部リンクは以下の点が挙げられます。
必須①|グローバルナビゲーション
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グローバルナビゲーションは、ウェブサイトのすべてのページに共通して設置される、主要なページへのリンクです。多くの場合、ヘッダー部分に配置され、サイト全体の構造をユーザーに示す役割を果たします。
グローバルナビゲーションには、トップページ、サービス紹介、会社概要、お問い合わせなど、ユーザーが頻繁にアクセスする可能性のあるページへのリンクを設置しましょう。
例えば、企業サイトであれば「会社概要」「事業内容」「採用情報」「お問い合わせ」などのページへのリンクが一般的です。
必須②|フッターナビゲーション
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フッターナビゲーションは、フッター部分に設置されるナビゲーションです。グローバルナビゲーションと同様に、サイト全体の構造を示す役割を果たしますが、グローバルナビゲーションよりも詳細な情報や、利用規約、プライバシーポリシーなど、サイト運営に関する情報へのリンクを配置することが一般的です。
フッターナビゲーションは、ユーザーがサイトの最下部までスクロールした際に、別のページに移動するための導線としても役立ちます。
必須③|パンくずリスト
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パンくずリストは、現在閲覧しているページが、サイト全体の階層構造の中でどこに位置しているのかを示すリンクです。ユーザーはパンくずリストを見ることで、自分の現在地を把握し、上位階層のページに容易に戻ることができます。
例えば、「トップページ > サービス紹介 > サービスA」のように、階層構造を分かりやすく表示することで、ユーザーが迷子になることを防ぎます。
必須④|サイドバー
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サイドバーは、ページのサイドに配置される領域で、本文とは別に、様々な情報を表示するために利用されます。サイドバーには、関連記事へのリンク、カテゴリー一覧、人気記事ランキングなどを設置することで、ユーザーの回遊を促すことができます。
サイドバーに設置する内部リンクは、本文の内容と関連性の高いものを選び、ユーザーにとって有益な情報を提供することが重要です。
必須⑤|本文中のリンク
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本文中のリンクは、記事の内容を補足したり、関連情報を提供したりするために、本文中に設置するリンクです。本文中のリンクは、ユーザーがより深く情報を得たいと感じた際に、自然な形で遷移を促すことができます。
本文中のリンクを設置する際は、リンク先のページの内容と関連性の高い箇所を選び、ユーザーの期待に応えられるようにしましょう。
まとめ
今回は、内部リンクの基本やSEO効果、具体的な設計方法まで幅広く解説しました。内部リンクは、ウェブサイトのSEO対策において非常に重要な要素です。適切な内部リンクを設置することで、検索エンジンのランキングで上位表示を目指せるだけでなく、ユーザーにとって使いやすいサイト構築にも役立ちます。
内部リンク構造を最適化する際は、重要なページにリンクを集める、リンク先との関連性を意識するなど、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
また、内部リンク設計の参考になる考え方として、トピッククラスター、クリック階層、リンクジュース、Navboostなど、様々な概念を学びました。
これらの要素を踏まえ、ウェブサイトの特性や目標に合わせて内部リンクを設計することで、SEO効果の向上、ユーザービリティの向上、そして最終的にはビジネスの成功に繋がる可能性があります。
内部リンクについてさらに詳しく知りたい方や、自社サイトへの導入を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。