GTM(Googleタグマネージャー)完全ガイド|導入から設定方法まで解説。

SEOノウハウ

GTM(Googleタグマネージャー)は、Webサイトやアプリに設置するタグを一元管理し、専門知識がない担当者でも容易にタグの追加や修正を行えるようにするツールです。

Googleタグマネージャー

この記事では、GTMの基本的な概念から、導入、設定、活用時の注意点までを網羅的に解説します。GTMを導入することで、タグ管理の効率化、データ計測の精度向上、サイトの表示速度改善など、多くのメリットを享受できます。

GTMを適切に活用し、Webサイトやアプリのデータ計測を効率化し、より効果的なWebサイト運営を目指しましょう。

この記事でわかる内容
  • GTMの基本的な概念とその仕組み
  • GTMを導入・設定する具体的な手順
  • GTMを活用する上での注意点
  • GTM導入によって得られる具体的なメリット
プロフィール
この記事を書いた人
山口耀平(Yamaguchi Yohei)

株式会社検索順位の海賊CEO。日本マーケティング学会会員。SEO歴5年のSEOコンサルタント。自身のアフィリエイトサイトをグロースさせた経験から、現在は企業のSEM支援を行っている。具体的には、オウンドメディア運用代行、SEO戦略立案、記事制作代行などを実施している。
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GTM(Googleタグマネージャー)とは?

GTM(Googleタグマネージャー)とは、Webサイトやアプリに設置するタグ」を一元管理するためのツールです。タグとは、GoogleアナリティクスやGoogle広告などのツールが発行する、計測や広告配信に必要なコードのことです。

通常、タグの設置や修正には専門知識が必要ですが、GTMを使えば専門知識がない人でも簡単に行えます。また、タグを一元管理することで、Webサイトの表示速度低下を防ぎ、管理にかかる時間や手間を大幅に削減可能です。Webサイトやアプリの解析、広告効果測定を効率的に行いたい人にとって、GTMは必要不可欠なツールと言えるでしょう。

GTM(Googleタグマネージャー)の仕組み

GTMは、「アカウント」「コンテナ」「タグ」「トリガー」「変数」の5つの要素で構成されています。これらの要素を組み合わせることで、GTMはWebサイトやアプリ上で発生するさまざまなイベントを計測し、必要なツールにデータを送信します。

まず大きな括りとして、アカウントとコンテナがあります。コンテナとは、実際に設定を行っていくサイトを表します。1サイトごとに1コンテナで管理するのが慣例となっています。

また、このコンテナを複数格納することができるのが「アカウント」と言われる機能です。アカウントは、コンテナを複数格納するグループのことで、1会社につき1アカウントとなっています。

GTMの中核にはタグ(分析ツールなどのコード)、トリガー(タグを発火させる条件)、変数(動的な値)があります。データレイヤーはサイトからGTMへデータを渡す仕組みで、ユーザー情報やイベント情報を送信します。

ワークスペースでは複数の担当者が同時に作業でき、バージョン管理機能で設定履歴を記録・復元できます。これにより、開発者に依頼せずマーケターが自らタグを管理でき、分析やマーケティング施策の効率を大幅に向上させられます。

要素説明
タグ(Tag)ウェブサイトやアプリに設置する計測や広告配信に必要なコード。
例:Google Analyticsのトラッキングコード、広告リマーケティングタグなど。
トリガー(Trigger)タグを発火させる条件。
例:ページビュー、クリック、フォーム送信など。
変数(Variable)タグやトリガーで使用する動的な値。
例:ページURL、クリック要素、ユーザーIDなど。
データレイヤー(Data Layer)ウェブサイトやアプリからGTMにデータを送信するための仕組み。カスタムイベントやユーザー属性などの情報をGTMに渡すために使用。
ワークスペース(Workspace)コンテナ内で複数のユーザーが同時に作業するための機能。設定変更の競合を避けるために、個人またはチームごとに専用のワークスペースを使用可能。
バージョン(Version)コンテナの設定変更履歴を管理する機能。変更内容を記録し、必要に応じて以前の設定に戻すことができる。

GoogleアナリティクスではなくGTMを使うメリット

Googleアナリティクス(GA)とGTM(Googleタグマネージャー)は、どちらもWebサイトの解析に役立つツールです。しかし、GTMを使うことでGAだけでは得られないメリットが数多く存在します。

上記4つのメリットについて、詳しく解説します。

メリット①|タグを一元管理することができる

GTMを利用することで、Googleアナリティクスだけでなく、Google広告、Facebookピクセルなど、複数のタグを一元管理できます。

通常、これらのタグをWebサイトに設置するには、HTMLファイルを編集する必要があります。しかし、GTMを使えば、GTMの管理画面上でタグの追加や削除、編集が可能です。

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複数のタグを管理しているWebサイトの場合、GTMを使うことで管理にかかる時間と手間を大幅に削減できます。また、タグの設置ミスによる計測漏れやサイトの不具合を防ぐことにもつながります。

メリット②|タグの発火を公開前にプレビューで確認できる

GTMには、タグの発火を公開前にプレビューで確認できる機能があります。この機能を使えば、設定したタグが意図したとおりに発火するかどうかを事前に確認可能です。

タグの設定ミスは、計測データの損失やサイトの誤動作につながる可能性があります。しかし、プレビュー機能を使えば、これらのリスクを未然に防ぐことができます。

特に、複数のタグを複雑な条件で管理している場合、プレビュー機能は非常に役立ちます。タグの動作を一つずつ確認することで、設定ミスを減らし、より正確なデータ計測を実現可能です。

メリット③|サイトの表示速度への影響を軽減できる

GTMを使うことで、Webサイトの表示速度への影響を軽減できます。通常、複数のタグをWebサイトに直接設置すると、タグの数だけHTTPリクエストが発生し、サイトの表示速度が低下する可能性があります。

しかし、GTMを使えば、タグの読み込みを非同期で行うことが可能です。これにより、ページの主要なコンテンツの表示を妨げることなく、タグを読み込むことができます。

サイトの表示速度は、ユーザー体験やSEOにも影響を与える重要な要素です。GTMを活用することで、サイトの表示速度を最適化し、ユーザー体験の向上とSEO効果の最大化が期待できます。

メリット④|タグのバージョン管理をすることができる

GTMでは、タグのバージョン管理が可能です。タグの設定を変更するたびに、変更履歴が保存されます。

この機能を使えば、過去のバージョンに簡単に戻したり、変更履歴を確認したりすることが可能です。タグの設定ミスや不具合が発生した場合でも、すぐに元の状態に戻すことができます。

複数人でWebサイトを管理している場合、バージョン管理機能は特に役立ちます。誰がいつ、どのような変更を行ったのかを把握することで、チーム全体でのタグ管理を円滑に進めることが可能です。

GTM(タグマネージャー)を実装すべき会社

GTMは、Webサイトやアプリの解析、広告効果測定を効率的に行うための強力なツールです。しかし、すべての企業にとってGTMが必要なわけではありません。ここでは、GTMを実装すべき企業とそうでない企業について解説します。

企業①|サイトの立ち上げを始める企業

Webサイトの立ち上げを始める企業は、GTMの実装を検討すべきです。サイト立ち上げの初期段階でGTMを導入することで、以下のメリットがあります。

  • タグ管理の効率化
  • データ計測の正確性向上
  • 将来的な拡張への対応

サイト立ち上げ時は、必要なタグが少ないため、GTMの導入は比較的容易です。早い段階でGTMを導入することで、将来的にタグが増えた場合でも、スムーズに対応できます。

また、GTMを活用することで、サイトの成長に合わせてデータ計測の精度を高め、より効果的なWebサイト運営が可能になります。

企業②|複数のツールを利用してる企業

Googleアナリティクス、Google広告、Facebookピクセルなど、複数のツールを利用している企業は、GTMの実装を強く推奨します。

複数のタグを管理している場合、GTMを使うことでタグ管理にかかる時間と手間を大幅に削減可能です。また、タグの設置ミスによる計測漏れやサイトの不具合を防ぎ、より正確なデータ計測を実現できます。

特に、広告効果測定を重視する企業にとって、GTMは必要不可欠なツールと言えるでしょう。GTMを活用することで、広告効果を正確に把握し、広告戦略の最適化に繋げることが可能です。

補足|本腰入れて計測しないなら不要

Webサイトやアプリのデータ計測に本腰を入れていない企業にとって、GTMは必ずしも必要なツールではありません。

GTMは多機能で複雑なツールであるため、使いこなすにはある程度の知識と経験が必要です。データ計測の必要性を感じていない場合、GTMの導入はかえって負担になる可能性があります。

しかし、将来的にデータ計測の重要性が高まる可能性も考慮する必要があります。GTMは後から導入することも可能ですが、早めに導入することで、より多くのデータを蓄積し、より効果的なWebサイト運営に繋げることが可能です。

GTM(Googleタグマネージャー)の導入手順

GTM(Googleタグマネージャー)を導入することで、Webサイトのタグ管理が劇的に効率化されます。ここでは、GTMの導入手順を3つのステップに分けて解説します。

上記3つのステップで、GTMの導入は完了です。

STEP①|Googleタグマネージャーのアカウント作成

GTMを利用するには、まずGoogleタグマネージャーでアカウントを作成する必要があります。

Googleタグマネージャーのコンテナの初期画面

GTMにおけるアカウントとは、STEP②で作成するコンテナを複数格納することができる「グループ」のようなものです。コンテナを複数管理することができます。多くのケースでは1会社につき1アカウントであることが多いです。

Googleタグマネージャーの公式サイトにアクセスし、「アカウントを作成」ボタンをクリックします。その後、以下の必要事項を入力し、利用規約に同意すればアカウント作成は完了です。

  • アカウント名(会社名が一般的)
アカウントの設定画面

アカウントの必要項目を入力完了したら、続いて「コンテナの設定」に移っていきます。

STEP②|コンテナを作成する

コンテナとは、Webサイトやアプリごとに作成するタグの管理場所です。アカウント作成後、最初にコンテナを作成する必要があります。

コンテナの設定では、を設定します。コンテナ名は、管理するWebサイトやアプリの名前を付けると分かりやすいでしょう。

  • コンテナ名(計測対象のサイトドメイン or URL)
  • ターゲットプラットフォーム(Web、iOS、Androidなど)

コンテナの種類は、管理する対象に合わせて選択してください。Webサイトの場合は「ウェブ」を選択します。

STEP③|GTMのコードをWebサイトに設置する

コンテナを作成したら、GTMのコードをWebサイトに設置します。GTMのコードは、コンテナの設定画面で確認可能です。

Googleタグマネージャーをインストールする画面

GTMのコードは、<head>内と<body>内の2箇所に設置する必要があります。<head>内のコードは、できるだけページの先頭に設置してください。<body>内のコードは、<body>タグの直後に設置します。

WordPressを使っている場合は、GTMのコードを簡単に設置できるプラグインが多数存在します。プラグインを利用すれば、コードを直接編集する必要はありません。

具体的には、公式が出している「Google Site Kit」というプラグインが非常に使い勝手が良いのでおすすめです。

GTMのコードを正しく設置することで、GTMがWebサイト上で動作し、タグの管理ができるようになります。

GTM(タグマネージャー)でのタグ(tag)設定手順

GTMを導入したら、次にタグの設定を行います。ここでは、Googleアナリティクスのタグを例に、GTMでのタグ設定手順を5つのステップに分けて解説します。

GTM(タグマネージャー)を実装すべき会社
  • STEP①|対象サイトのコンテナにアクセスする
  • STEP②|タグの設定をする
  • STEP③|トリガーを設定する
  • STEP④|プレビュー確認
  • STEP⑤|公開をする

上記5つのステップで、GTMでのタグ設定は完了です。

STEP①|対象サイトのコンテナにアクセスする

まず、GTMの管理画面から、タグを設定したいWebサイトのコンテナにアクセスします。複数のコンテナを管理している場合は、目的のコンテナを選択してください。

コンテナにアクセスしたら、左側のメニューから「タグ」を選択し、「新規」ボタンをクリックします。

STEP②|タグの設定をする

次に、タグの設定を行います。タグの種類を選択し、必要な情報を入力します。ここでは、Googleアナリティクスのタグを例に解説します。

タグの種類で「Googleアナリティクス:GA4設定」を選択し、測定IDを入力します。測定IDは、Googleアナリティクスの管理画面で確認可能です。

測定IDの入力を実施する

タグの設定が完了したら、次にトリガーの設定に移ります。

STEP③|トリガーを設定する

トリガーとは、タグを発火させる条件のことです。タグがいつ、どのような場合に実行されるかを設定します。

「ALL Pages」を選択

トリガーの種類を選択し、必要な情報を入力します。ここでは、「すべてのページ」でタグを発火させるトリガーを設定します。

トリガーの種類で「初期化 – すべてのページ」を選択します。これにより、すべてのページでGoogleアナリティクスのタグが発火するようになります。

「ALL Pages」を選択

STEP④|プレビュー確認

タグとトリガーの設定が完了したら、必ずプレビュー確認を行いましょう。プレビュー確認では、設定したタグが意図したとおりに発火するかどうかを事前に確認できます。

GTMの管理画面右上にある「プレビュー」ボタンをクリックし、プレビューモードを開始します。プレビューモードでWebサイトにアクセスし、タグの発火状況を確認してください。

タグが正しく発火していれば、設定は完了です。もし、タグが発火しない場合や意図しないタグが発火している場合は、設定を見直しましょう。

STEP⑤|公開をする

プレビュー確認でタグの動作に問題がなければ、設定を公開します。GTMの管理画面右上にある「公開」ボタンをクリックし、公開するバージョンの名前と説明を入力します。

「公開」ボタンをクリックすると、設定がWebサイトに反映されます。これで、GoogleアナリティクスのタグがGTM経由でWebサイトに設置されました。

GTM(タグマネージャー)を活用する際の注意点

GTM(Googleタグマネージャー)は、Webサイトのタグ管理を効率化する強力なツールですが、活用する上での注意点もいくつか存在します。ここでは、GTMを活用する際の注意点を4つに分けて解説します。

GTM(タグマネージャー)を活用する際の注意点
  • 注意点①|既存のタグを整理して重複計測を防ぐ
  • 注意点②|バージョン管理で変更履歴を記録しておく
  • 注意点③|データレイヤーの設計と実装は、慎重に行う
  • 注意点④|定期的なメンテナンスを計画に行う

上記4つの注意点を理解し、GTMを適切に活用しましょう。

注意点①|既存のタグを整理して重複計測を防ぐ

GTMを導入する前に、既存のタグを整理することが重要です。重複したタグが複数存在すると、計測データに誤差が生じる可能性があります。

例えば、Googleアナリティクスのタグが2つ設置されている場合、ページ閲覧数が2倍にカウントされてしまいます。このような重複計測を防ぐために、既存のタグを洗い出し、不要なタグは削除しましょう。

タグの整理は、計測データの精度を高めるために不可欠です。GTMを導入する前に、必ず既存のタグを整理してください。

注意点②|バージョン管理で変更履歴を記録しておく

GTMには、バージョン管理機能があります。この機能を活用し、タグの設定変更履歴を記録しておきましょう。

バージョン管理をすることで、設定ミスや不具合が発生した場合に、過去のバージョンに簡単に戻すことができます。また、誰がいつ、どのような変更を行ったのかを把握することも可能です。

特に、複数人でWebサイトを管理している場合、バージョン管理は非常に役立ちます。変更履歴を記録しておくことで、チーム全体でのタグ管理を円滑に進めることができます。

注意点③|データレイヤーの設計と実装は、慎重に行う

データレイヤーとは、WebサイトやアプリからGTMにデータを送信するための仕組みです。データレイヤーを適切に設計し実装することで、より詳細なデータ計測が可能になります。

しかし、データレイヤーの設計と実装は専門的な知識が必要です。誤った設計や実装は、計測データの損失やサイトの不具合につながる可能性があります。

データレイヤーを実装する際は、事前に設計を入念に行い、テストを繰り返してください。専門知識がない場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

注意点④|定期的なメンテナンスを計画に行う

GTMの設定は、一度行ったら終わりではありません。Webサイトやアプリの変更に合わせて、定期的なメンテナンスが必要です。

例えば、Webサイトのリニューアルや新しいツールの導入を行った場合、GTMの設定を見直す必要があります。また、タグの動作確認や不要なタグの削除なども定期的に行いましょう。

定期的なメンテナンスを計画的に行うことで、常に最新の状態を保ち、正確なデータ計測を維持できます。

GTMを活用する上での注意点を理解し、適切に運用することで、Webサイトやアプリのデータ計測を効率化し、より効果的なWebサイト運営に繋げることができます。

まとめ

この記事では、GTM(Googleタグマネージャー)の基本的な概念から導入、設定、活用時の注意点までを網羅的に解説しました。GTMは、Webサイトやアプリのタグ管理を効率化し、データ計測の精度を高めるための強力なツールです。導入することで、タグの追加や修正が容易になり、サイトの表示速度向上、管理工数の削減など、多くのメリットを享受できます。

特に、複数のタグを管理している企業や、サイト立ち上げを始めたばかりの企業にとって、GTMは必要不可欠なツールと言えるでしょう。一方で、GTMは多機能であるが故に、適切な知識と運用が求められます。タグの重複管理やバージョン管理の徹底、データレイヤー設計の慎重な実施、そして定期的なメンテナンスは、GTMを最大限に活用するために不可欠な要素です。これらの注意点を踏まえ、GTMを適切に運用することで、Webサイトやアプリのデータ計測を効率化し、より効果的なWebサイト運営に繋げることができるでしょう。

この記事が、GTMの導入を検討している、あるいは既に導入しているが更なる活用を目指している方々にとって、有益な情報源となれば幸いです。GTMの設定や運用に関して不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。

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