SEOで流入したオウンドメディアのユーザーをコンバージョンにつなげるには、CTA(Call To Action)の設計が不可欠です。オウンドメディアにおけるCTAは、単なるボタンではなく、ユーザーの興味・心理に沿って行動を促す導線です。
配置場所、文言、色、出現タイミングを適切に設計することで、クリック率とCVRは大きく改善されます。本記事では、オウンドメディアCTAの設計手順や種類、改善ノウハウ、活用すべき分析ツールまで網羅的に解説します。
- オウンドメディアCTAの定義と設計の重要性
- 配置・文言・デザインのパターンと選び方
- クリック率改善に役立つ具体的な施策とツール
オウンドメディアにおけるCTA(Call To Action)とは?
CTA(Call To Action)とは
CTA(Call To Action)とは、ユーザーに対して次のアクションを促す導線のことです。記事を読んだ後に「資料請求」や「お問い合わせ」「無料体験」など、明確な行動を起こしてもらうために設置されます。
CTAは「ボタンやバナーそのもの」を指すと捉えられがちですが、これらはあくまで手段に過ぎません。本質は、ユーザーの意思決定を後押しし、CV(コンバージョン)ポイントへ自然に誘導する導線設計にあります。
つまり、視覚的な要素だけでなく、文脈・情報量・タイミングなどを含めて、ユーザーの「行動したい気持ち」を高めることこそがCTAの役割です。
オウンドメディアとCTA(Call To Action)
オウンドメディアにおけるCTAは、記事を中心としたコンテンツに対して、SEOなどで流入したユーザーを、問い合わせフォームや資料ダウンロードといったCVポイントへ誘導するための導線です。
ユーザーは記事を読み進める過程で情報理解が深まるため、そのタイミングに合わせてCTAを適切に配置することで、自然な形でアクションに繋げることができます。
しかし、オウンドメディアには、LPと異なり「今すぐ問い合わせたい顕在層」だけでなく、準顕在層・潜在層など、温度感の異なる幅広いユーザーが流入します。
そのため、コンテンツのテーマや想定読者の状態に応じてCTAの訴求内容・設置位置・デザインを最適化し、段階的にCVポイントへ流し込む設計が必要となります。
CTAを設計することで得られる効果
CTAの設計を戦略的に行うことで、単なる“ページ上のボタン”にとどまらず、オウンドメディア全体の成果指標、特にCV数に対し良い効果を発揮します。特に以下の3点で大きなインパクトがあります。
- CV数が増加し、直接的な成果が生まれる
- ユーザー行動が改善し、回遊率が上がる
- 関連指標が強化され、検索順位の向上に寄与する
CTA設計は単なる“補助要素”ではなく、オウンドメディア全体の戦略に直結する「成果の起点」なのです。
効果①|CV数を増やすことができる
CTAを適切に設置することで得られる最大の効果は、CVR(コンバージョン率)の向上です。いくらSEO記事やブログが読まれていても、CTAが最適化されていなければ、商品やサービスに興味を持ったユーザーの次のアクションを取りこぼしてしまいます。つまり、CTAは「興味」から「行動」へと繋ぐ最後の一押しであり、その設計精度がCVの成果を左右します。
コンバージョンを獲得するためには、ユーザーが「その場で行動したくなる」文言、配置、タイミングが重要です。たとえば、課題を解決した直後に「無料診断を試す」ボタンが表示されていれば、クリックされる可能性は高くなります。
逆に、文章の流れと無関係に突然現れるCTAでは、ユーザーは戸惑い、違和感を覚えるだけで終わる可能性が高まります。意図に沿った設計は、心理的な抵抗感を下げ、スムーズにアクションへとつなげる役割を果たします。
成果を出すオウンドメディアでは、全記事で「意図されたCTA」が設置されており、その多くがクリック率やCVRのモニタリングと改善を繰り返しています。
効果②|ユーザー行動が良くなり回遊率が上がる
適切なCTAは、ユーザーの離脱を防ぎ、次のページや別コンテンツへの遷移を促す導線として機能します。その結果、サイト全体の回遊率が上昇し、滞在時間やセッションの質が向上します。
たとえば、関連性の高い記事へのリンクCTAや、「他の資料を見る」「チェックリストで自己診断する」といった文脈に沿ったCTAは、ユーザーが抱いている興味の流れを途切れさせることなく、自然な形で次の行動へ誘導できます。
このように回遊を促進する設計は、ユーザーの満足度向上と同時に、自社サービスの理解深化や良質な認知獲得にも繋がります。
さらに、回遊率が高まることでユーザーの関心度・検討意欲は段階的に高まり、CVまでの温度感(モチベーション)を育てることができます。結果として、最終的なCVRの向上にも寄与します。
効果③|検索順位の上昇に間接的に寄与する
CTAは直接的に検索順位に影響するわけではありません。しかし、間接的な要因として、SEO効果にポジティブな影響を及ぼします。理由は、CTAがユーザー行動の質を高めるからです。具体的には以下のような行動データが改善します。
- 滞在時間の延長
- 直帰率の改善
- ページ/セッション数の増加
これらの行動指標は、検索エンジンにとって「ユーザーにとって有益なページ」として評価される材料になります。そのため、検索順位の改善に間接的に寄与する可能性が高まります。
また、回遊率が上がることで内部リンク構造が強化され、サイト全体のクロール効率やページ評価の流通にも好影響を与えます。これは結果的に、長期的なドメイン評価向上につながる要素ともなります。
CTA(Call To Action)の訴求方針の決定に必要な要素
オウンドメディアでは、どうしても記事コンテンツにばかり注目しがちですが、一定の流入がある段階ではCTA設計にこだわらなければ、どれだけ良質なコンテンツを用意してもCVにはつながりません。なぜなら、ユーザーは記事を読んで情報理解は進んでいても、自ら行動に移すきっかけ(クリックの動機)を持っていないためです。
CTAは、コンテンツとCVポイントを繋ぐ橋渡しの役割を果たします。この「橋」をどのタイミングで、どの強さで、どの形で架けるかによって、成果は大きく変わります。拘るべき要素には、以下の5つがあります。
- ターゲットとのマッチ度合い
- 検索意図や悩みとの一致
- 行動のハードルの低さ
- 緊急性の高さ
- UI/UXの質
これらの要素を考慮せずにCTAを設置すると、クリック率やCVRに大きく悪影響を及ぼします。
要素①|ターゲットとのマッチ度合い
まず最優先で考えるべきは、「ターゲットとのマッチ度」です。誰に向けたCTAなのかが曖昧なままでは、どれだけ文言やデザインを工夫しても反応は得られません。
たとえば、情報収集段階の読者に対して「今すぐお問い合わせ」などの決断を迫る文言を提示しても、心理的な距離がありすぎてスルーされやすくなります。逆に、課題が明確で比較検討をしている層であれば、強めのアクションを提示した方が刺さります。
ユーザーのフェーズと心理状態を理解し、その段階にふさわしいCTAを出すことで、無理なく次の行動につなげられます。
要素②|検索意図や悩みを解決する
CTAは、検索意図と紐づけて設計することで初めて「クリックされる可能性」が生まれます。コンテンツでユーザーの課題や疑問に答えた直後に、それに関連する具体的な解決手段として提示されるCTAは、高い反応率を得やすいです。
逆に、検索意図と無関係なCTAは、情報の流れを断ち切るノイズにしかなりません。たとえば「業務改善 チェックリスト」というキーワードで流入した読者に、いきなり「資料請求はこちら」というCTAだけを提示しても、行動意欲は湧きません。
検索意図に寄り添い、「次に読むべき情報」「関連する行動提案」を文脈内で自然に設置することが重要です。
要素③|行動のハードルの低さ
CVに至るまでの“心理的・物理的ハードル”をどれだけ下げられるかも、CTA設計における重要な視点です。とくにSEO経由で流入したユーザーは、いきなり商談や購入に進むとは限りません。
したがって、以下のような低負荷な行動提案が有効です。
- 無料チェックリストのダウンロード
- 資料請求前の簡易診断
- チャット相談の導入
これらのハードルが低いCTAは、初期接点として効果的に機能します。段階的に関係性を深めることで、最終的なCVへつなげやすくなります。
一方で、ハードルの高いCTAしか用意していない場合、検討段階のユーザーを取りこぼすリスクが高まります。
要素④|緊急性の高さ
CTAの文言に「今すぐやる理由」があるかどうかは、行動喚起の成否を大きく分けます。人は基本的に“現状維持バイアス”を持つため、行動に移すには何らかの“きっかけ”が必要です。
緊急性を高める表現には以下のようなものがあります。
- 「期間限定」
- 「先着◯名」
- 「今だけ無料」
ただし、過度にあおる表現は信頼を損ねるため注意が必要です。自社のブランドトーンやユーザー層に合わせて、適切なバランスで緊急性を演出することが求められます。
信頼と誠実さを保ちつつ「今やる理由」を設計することで、行動率を引き上げることが可能です。
要素⑤|UI/UXの高さ
最後に、CTAは内容だけでなく「見た目・操作性」も成果に直結します。クリックしづらい・見つかりにくい・押したくならないCTAでは、どれだけ訴求が適切でも反応されません。
UI/UXで重視すべきポイントを表に整理します。
| 項目 | ポイント例 |
|---|---|
| 配色 | ページ全体とのコントラストをつける |
| サイズ | モバイル・PCどちらでも見やすくタップしやすいこと |
| 配置 | ユーザーの視線導線に沿った自然な場所 |
| フォント・余白 | 情報が詰まりすぎない、読みやすい設計 |
| 反応性 | ホバー時の反応やクリック後の挙動が明確であること |
ユーザーのストレスを最小限に抑え、自然な流れでクリックできる設計を心がけることが、UI/UXの観点からの最適化につながります。
オウンドメディアにおけるCTA(Call To Action)の設計手順
CTAは「何となく配置する」ものではなく、戦略的に設計しなければ成果につながりません。特にオウンドメディアにおいては、ユーザーの検索意図や記事の文脈に沿って導線を設計する必要があります。以下に、効果的なCTA設計に必要な4つのステップを紹介します。
- カスタマージャーニーを設計する
- CVポイントをユーザー段階ごとに設計する
- 導線を設計する(CTA配置箇所・種類)
- 訴求文言・デザインを策定する
STEP①|カスタマージャーニーの設計
CTAを設計する第一歩は、ユーザーの行動プロセスを可視化することです。いわゆる「カスタマージャーニーの設計」です。検索で訪れたユーザーがどのような背景を持ち、どのような順番で情報収集から意思決定に至るのかを整理しなければ、適切な導線は作れません。
この段階では、以下のような情報を洗い出すと有効です。
- 想定される課題やニーズ
- 情報収集フェーズの段階(無関心→興味→比較→決定)
- どのタイミングで自社サービスが選択肢に入るか
特にSEO経由での流入は「情報収集」目的が多いため、いきなりCVを狙うのではなく「関係性構築」を意識した中間CTAを設計することが肝心です。
ジャーニー設計を怠ると、記事内CTAが独りよがりになり、ユーザー行動と乖離する原因になります。
STEP②|ターゲットに応じたCVポイントの設計
カスタマージャーニーをもとに、ユーザーの各段階に応じたCVポイント(コンバージョン行動)を定義します。CVは1種類ではなく、段階に応じて複数設計すべきです。
以下の表は、ユーザー段階と適切なCV例の整理です。
| ユーザー段階 | 適切なCV例 |
|---|---|
| 情報収集フェーズ | 無料資料DL、チェックリストDL |
| 比較検討フェーズ | サービス資料請求、導入事例閲覧 |
| 決定・実行フェーズ | 問い合わせ、無料相談、申込み |
このように、ユーザーが「次に取りやすい行動」を用意することで、無理なくCVへ導くことが可能になります。一律のCTAを出すのではなく、読者の段階に合った選択肢を提示することが回遊率とCVRの両面で効果的です。
STEP③|導線の設計
どのページにどの種類のCTAをどの位置に配置するかを設計します。CTAの設置位置や表示タイミングによって、クリック率が大きく変動するため、意図を持った設計が重要です。
特に注視すべき設計要素は以下の通りです。
- ページ種類ごとの設置パターン(記事/LP/一覧ページ)
- スマートフォン/PCでの見え方
- ユーザー離脱ポイントを考慮した配置
- CTAの重複と出現タイミングのバランス
設計においては、各記事に同一のテンプレートを適用するのではなく、個別の検索意図とユーザー行動に合わせて柔軟に変更できる体制が望まれます。
導線設計の精度が高まれば、自然な流れでユーザーが次のアクションに進むため、結果としてCVRや回遊率の底上げが期待できます。
STEP④|訴求文言・デザインの策定
最後に、CTAの文言とデザインを整えます。設置場所や種類が最適でも、文言やビジュアルに魅力がなければユーザーは行動しません。
文言策定で意識すべきポイントは以下の3つです。
- 行動喚起の明確性(例:「無料で始める」「今すぐ診断する」)
- ユーザーにとってのベネフィットを強調
- 不安やリスクの軽減(例:「登録不要」「3分で完了」)
一方デザイン面では、前述のUI/UX要素とあわせて、ブランドトーンとの整合性も重要です。どれだけ効果的なCTAでも、企業イメージと乖離した見た目では信頼を損ねます。
訴求内容・心理的な動機・視認性を三位一体で設計することが、実際のクリックへつながるCTAになります。
オウンドメディアにおけるCTA(Call To Action)のデザインの種類
CTAは「何を伝えるか」だけでなく、「どのように見せるか」によっても成果が変わります。特にWeb上では視認性・操作性・心理的印象がCVRに大きく影響を与えるため、デザインの選択は極めて重要です。ここでは、CTAの代表的な4つのデザインパターンを紹介します。
- ボタン型
- テキスト型
- バナー型
- フォーム一体型
種類①|ボタン型
最も一般的かつ高いクリック率を期待できるのが「ボタン型」のCTAです。ユーザーの視線を引きつけやすく、スマートフォンでもタップしやすいため、実用性が高い形式と言えます。
ボタン型の利点は、視覚的にアクションを促しやすい点です。たとえば、「無料で診断する」「資料をダウンロードする」といった行動を明示的に促す文言を配置できるため、目的と行動が直結しやすくなります。
設計上のポイントとしては、色のコントラストやマイクロコピーの工夫が挙げられます。「3分で完了」「登録不要」などの補足文をボタンの周囲に添えることで、心理的ハードルを下げられます。
ただし、複数のボタン型CTAを同一ページに配置しすぎるとユーザーの迷いを招くため、1ページあたり2つ程度に抑えるのが基本です。
種類②|テキスト型
「テキスト型」は自然な文脈の中に組み込まれるタイプのCTAです。記事の途中や末尾で、あくまで情報の一部として挿入されるため、押しつけ感がなくクリックされやすいケースがあります。
この形式は、情報収集フェーズのユーザーに対して中間CVを促す際に有効です。たとえば、「詳しいチェックリストはこちらの記事で解説しています」や「この課題を詳しくまとめた資料はこちら」といった案内は、ユーザーの興味の延長線上に設置できます。
また、他記事への回遊やコンテンツ内導線強化にも役立ちます。自然な流れを保ちながらクリックを促せるため、SEO的にも行動データを改善する起点になります。
一方で、視覚的に目立ちにくいため、装飾(下線、太字、色変更など)による強調が必要です。
種類③|バナー型
バナー型は、画像やビジュアル要素を使って訴求するCTAです。特に商品やサービスのイメージが明確な場合には効果的です。ブランドカラーやロゴ、商品のビジュアルを用いることで、印象づけと同時にクリック誘導が可能になります。
デザイン次第でインパクトが大きいため、キャンペーンやリブランディングなどの施策と相性が良い形式です。また、広告バナーとの親和性も高く、SNS広告との一貫性を持たせることで信頼性も高まります。
注意点としては、画像として読み込まれるため読み込み速度に影響する場合や、テキストとのコントラスト不足により可読性が低下するリスクもあります。必ず軽量化と代替テキスト設定、デバイスごとのレスポンシブ対応を行うべきです。
種類④|フォーム一体型
CTAのクリック先で別ページに遷移せず、ページ内にそのまま入力フォームが設置されているタイプです。これにより、ユーザーが行動するためのステップを1つ省略できるため、CVR向上に直結します。
とくにBtoB領域やホワイトペーパー配布、無料相談など「問い合わせ型CV」が中心の場合、このフォーム一体型は非常に有効です。フォーム送信後のThank youページから別サービスの訴求へもつなげられるため、クロス導線にも活用できます。
ただし、入力項目が多すぎると逆に離脱を招くため、最低限の情報に絞り、3ステップ以内で完結する設計が求められます。個人情報の取り扱い説明などの信頼要素も、フォーム周辺に必ず添えるようにしましょう。
オウンドメディアにおけるCTA(Call To Action)の設置すべき箇所
CTAは「設置するだけ」では意味がありません。ユーザーの視線導線、行動タイミング、記事の構成に沿って適切な場所に配置することで、初めてその効果を最大化できます。以下に、成果が出やすい設置箇所を優先順位順に整理します。
- リード文下 / 目次上
- 本文末尾
- 記事本文中(離脱ポイント)
- 画面下部(追従・スティッキー)
- サイドバー
- グローバルナビ下
- タイトル上
- 画面中央(フローティング・ポップアップ)
箇所①|リード文下 / 目次上(最優先)
最も優先すべき設置位置が「リード文下/目次上」です。ユーザーが記事にアクセスして最初に視線を向けるエリアであり、記事を読み進めるかどうかを判断する重要な分岐点です。
この箇所にCTAを設置する最大の利点は、全ユーザーに対して確実に接触できることです。とくに資料請求やチェックリストDLなど、中間CVを狙いたい場合にはこの位置が非常に効果的です。
また、目次の上に設置することで、自然な流れでコンテンツの構成把握→興味喚起→行動誘導という流れが形成されます。読者が何を知りたいかを把握する前のタイミングで「悩みを解決できる手段がある」ことを伝えられるため、非常に合理的です。
離脱リスクが高まる冒頭こそ、最も強力なCTAポイントになります。
箇所②|本文末尾(読了時 CTA)
記事を読了したユーザーは、一定の情報満足度を得ており、行動への心理的ハードルが下がっています。そのため、記事末尾に設置するCTAは「CVに最も直結する導線」となります。
特に、以下のようなユーザー心理が働いています。
- 課題をある程度理解したため、次の行動を検討しやすい
- 情報収集を終えた直後のため、判断力が高まっている
- 他の記事よりもこの内容に満足している証拠(読了率)
このタイミングで、記事内容と連動したCTA(例:関連記事資料DL、無料相談、導入事例の紹介)を提示することで、自然な流れでクリック率とCVRを高められます。
なお、CTA設置後は余計なコンテンツを追加せず、ページを締めくくる設計が望ましいです。
箇所③|記事本文中(離脱手前の挿入)
記事の中盤〜後半、特にユーザーのスクロールが減速・停止しやすいタイミングでのCTA設置は、離脱防止に効果的です。この「離脱手前」のセクションは、ユーザーが疲れてきた、あるいは情報に満足したために離脱を考え始めているポイントです。
この箇所に設置するCTAは、以下の目的に適しています。
- ユーザーの行動を変化させる中間CV(資料DLなど)
- 離脱回避を目的とした関連記事への誘導
- コンテンツを深堀りするホワイトペーパー案内
「次の行動があること」を意識づけるだけでも、セッション時間や直帰率に良い影響を与えます。
挿入タイミングは、段落の切れ目や見出し直後など、違和感なく入り込めるポイントが適切です。
箇所④|画面下部(追従 / スティッキーCTA)
ユーザーがどこまでスクロールしても常に表示される「追従型」や「スティッキーCTA」は、スマートフォンユーザーへの接触効率を高めるために有効です。
この設置形式は以下のような効果があります。
- 全スクロール時点で常時訴求が可能
- モバイルでも目立ちやすく、指操作に適している
- 常時表示により「気になった瞬間にすぐ押せる」
ただし、コンテンツ閲覧の邪魔にならないよう、最小限のサイズとシンプルな文言が求められます。ユーザー体験を損ねないように配慮しつつ、確実な接触を狙える手法です。
箇所⑤|サイドバー
「サイドバー」は、特にPCユーザーに対して有効なCTA設置箇所です。記事本文と並列して常に表示される構造のため、読み進めながらも視界に入り続け、継続的に行動を促すことができます。
主に以下のようなCTAに適しています。
- 無料資料のダウンロード
- ホワイトペーパーの案内
- セミナー・イベント告知
サイドバーは「能動的にクリックする余裕のあるユーザー」が閲覧するため、比較的CV意欲が高いケースも多く、情報補助的な訴求を行う場として効果的です。
ただし、スマートフォンでは非表示になるケースが多いため、SP版での補完導線(追従型や本文内挿入)が必要です。また、あまりにも広告感が強いデザインだと視線を避けられやすくなるため、ブランドトーンに馴染むデザインが求められます。
箇所⑥|グローバルナビ下
グローバルナビゲーション直下は、Webサイト全体の共通パーツとして設置できるため、全ページで安定した露出が可能になります。とくに全体的なCV導線の強化を狙う場合や、メイン商材のプロモーションを行いたい場合に適しています。
この位置に設置するCTAの例としては以下があります。
- 初回訪問者向けの診断ツール案内
- 主力商品の無料トライアル
- 期間限定キャンペーン
ユーザーがトップページや記事詳細ページなど、どのページにいても一定の確率で接触してもらえるのが最大のメリットです。さらに、ファーストビューの直後に表示されるため、クリックされやすい傾向もあります。
ただし、スクロールとともに見えなくなるため、他の位置との併用が推奨されます。
箇所⑦|タイトル上
記事タイトルのすぐ上に設置するCTAは、訪問直後のユーザーに最初に提示される導線として機能します。とくに「SEO記事からの流入で課題意識が高い層」に対しては、最短で行動を促せる有効な位置です。
ただし、内容との文脈が合っていなければ“広告臭”が強くなり、かえって離脱の原因にもなりかねません。そのため、検索意図と一致したCTAを配置する必要があります。
この位置はクリック率が高い反面、CV率が低下することもあるため、「記事を読まずに行動するユーザー」向けの簡易CV(チェックリストや比較表ダウンロードなど)に適しています。
文脈を遮らないよう、本文導入と自然につながるような表現やデザイン設計が求められます。
箇所⑧|画面中央(フローティング / ポップアップ)
ユーザーのスクロールにあわせて画面中央に浮かび上がる「フローティング型」や「ポップアップ型」は、強制的に注意を引くCTAとして非常に高い視認性を持ちます。
一方で、ユーザー体験を阻害する可能性があるため、使用には細心の注意が必要です。表示条件やタイミングを適切に設定しないと、すぐに「×ボタン」で閉じられ、信頼感を損なうリスクがあります。
適切な活用方法としては以下のような条件付き表示です。
- 記事を一定割合以上スクロールしたユーザーのみ表示
- 特定のセッション時間経過後に表示
- 離脱直前にだけ表示(エグジットインテント)
このような表示設計を行うことで、押しつけ感を抑えながら、高CV導線として機能させることが可能です。特に短期間のキャンペーンや、回遊率の改善施策として有効です。
オウンドメディアでクリック率を上げるCTA(Call To Action)のプチノウハウ
CTAの設置位置や種類を適切に設計しても、細部の工夫を怠るとクリック率(CTR)は頭打ちになります。ここでは、成果を伸ばすために重要な4つの改善ポイントを紹介します。
- 画面占有率を上げて目立たせる
- 色選定で心理的クリック率を高める
- BtoB領域ではテキスト型も有効
- 改善を前提に設計しPDCAを回す
これらのポイントは、ユーザーの行動に直結するため、設計段階から意識しておくべき要素です。
ポイント①|画面占有率をなるべく上げる
CTAは画面内で目立っていなければ、どれほど優れた訴求でもユーザーに気づかれません。そのため、クリック率を上げるための基本戦略として「画面占有率を高める」ことが挙げられます。
視認性を確保する方法は以下の通りです。
- PCでは横幅80%以上のフルワイド型CTAを設置する
- モバイルではスティッキーCTAを活用する
- 見出しの直後や余白部分を活かして、情報密度を下げずに目立たせる
特に、スマートフォンではスクロール主体の閲覧が多いため、CTAの大きさと配置はCVRに大きく影響します。読者が読み飛ばさず、自然に視認できる面積と動線を設計しましょう。
ただし、コンテンツを邪魔する設計は逆効果です。視認性と読みやすさのバランスを両立することが重要です。
ポイント②|CTAのカラーは「青」や「緑」に寄せる
CTAの配色は、ユーザーの行動心理に大きな影響を与えます。実際、多くのテスト結果において「青系」「緑系」のCTAが高いクリック率を記録する傾向があります。
これは色彩心理に基づいた現象です。青は信頼・安心、緑は安定・肯定といったイメージを想起させるため、BtoBでもBtoCでも効果を発揮します。
たとえば、以下のような設定が有効です。
| CTA色 | ユーザー心理への影響 |
|---|---|
| 青系 | 誠実・信頼・冷静 |
| 緑系 | 肯定・安心・バランス感覚 |
| 赤系 | 緊急性・限定感(※過度注意) |
ブランドカラーを活かすことも大切ですが、CTAにはあえて別配色を適用して視覚的な注意を促す手法もあります。コントラストを意識しつつ、安心感を持たれる配色設計を意識しましょう。
ポイント③|BtoBは意外とテキストCTAがクリックされる
BtoB領域では、派手なボタンよりも「テキスト型」のCTAの方がクリックされやすいことがあります。理由としては、押しつけ感が少なく、情報収集目的のユーザーにとって違和感がないからです。
とくに、以下のような場面で効果的です。
- コンテンツ文脈に自然に埋め込まれている場合
- 関連資料や記事へ導く内部リンク型のCTA
- ファーストコンタクトが目的の中間CV
「詳しくはこちら」や「チェックリストを見る」といった形で、文脈に沿った案内を提供することで、読者の流れを止めずに行動を促せます。視認性を高めるため、装飾として太字・アンダーライン・色変更などの調整は必須です。
CTAは“見せる”だけでなく“馴染ませて行動させる”という視点も重要です。
ポイント④|CTAは設置して終わりではなく改善をする
CTAは「一度設置したら終わり」ではありません。実際のクリックデータやヒートマップをもとに、繰り返し改善を加えることで、CTRやCVRの大幅な向上が見込めます。
改善サイクルには以下の要素を組み込みましょう。
- 文言のABテスト(例:「資料請求」→「無料チェックリスト」)
- 配置変更による視線導線の最適化
- 表示デバイス別のクリック傾向確認
このように、データを活用したPDCAを継続することで、ただの「案内ボタン」から「成果を生む装置」へとCTAは進化します。
改善を前提に設計することが、継続的なオウンドメディア成長の鍵になります。
オウンドメディアにおけるCTA(Call To Action)の改善に使えるツール
CTAは設置して終わりではなく、改善して初めて成果に結びつきます。改善にあたっては、ユーザーの行動データを可視化し、数値に基づいて仮説検証する必要があります。ここでは、CTA改善に有効な4つのツールを紹介します。
- Google Analytics 4(数値の定点観測)
- Googleタグマネージャー(クリックイベントの設計)
- Microsoft Clarity(ヒートマップによる視線分析)
- OptimizeNEXT(ABテストでの検証)
これらのツールを連携・活用することで、属人的でない定量的な改善PDCAが可能になります。
ツール①|Google Analytics 4(サイト数値計測ツール)
『Google Analytics 4』は、Webサイト全体のユーザー行動を把握できる基本の分析ツールです。CTA改善においては、クリック後のCV完了率や遷移先の直帰率などを計測する目的で利用します。
特に見るべき指標は以下の通りです。
- CTAクリック後のコンバージョン到達率
- デバイス別・ページ別のCTR傾向
- ファーストユーザーとリピーターの反応差異
ただし、GA4単体では「どのボタンが押されたか」までの細かいデータは取得できません。後述のタグマネージャーと組み合わせることで、計測設計の幅が広がります。
分析対象とするページやCTAには、事前にパラメータを設けておくと後の集計がスムーズです。
ツール②|Googleタグマネージャー(タグ管理ツール)
『Googleタグマネージャー』は、ページ内のクリックイベントを柔軟に管理・記録できるツールです。CTAの文言や位置ごとにクリックイベントを設定することで、どの要素が最も反応されているかを可視化できます。
設定の例は以下です。
- 「資料DLボタン(目次上)」のクリック計測
- 「チェックリストDL(サイドバー)」のクリック率
- フローティングCTAの有無による比較検証
タグマネージャーでイベント計測を組み込めば、GA4側でのコンバージョン設定やレポート作成もスムーズになります。
施策の精度を上げたい場合には、CTAごとのクリックログ取得は必須です。
ツール③|Micorsoft Clarity(ヒートマップツール)
『Microsoft Clarity』は、ページ内でユーザーがどこを注視しているか、どこまでスクロールしているかなどを可視化できるヒートマップツールです。無料で導入でき、直感的に使える点も魅力です。
以下のような分析に役立ちます。
- CTAが視認されているかどうか
- ページのどこで離脱しているか
- モバイルとPCでの注視エリアの違い
たとえば、CTAがファーストビュー内にあっても、実際はユーザーが見ていなければ意味がありません。Clarityを活用すれば、視線と行動のギャップを把握し、より効果的な配置へ改善できます。
レイアウト変更の判断材料として非常に有効なツールです。
ツール④|OptimizeNEXT(ABテストツール)
『OptimizeNEXT』は、CTAの文言や色、配置を柔軟にABテストできるツールです。複数パターンを同時に検証し、どのデザインや文言が最も成果に寄与するかを数値で可視化できます。
特に有効なテストの例は以下です。
| テスト項目 | 検証内容の例 |
|---|---|
| 文言テスト | 「資料請求はこちら」vs「無料チェックリストDL」 |
| 配置テスト | 記事中段CTA vs 末尾CTA |
| 表示方法テスト | 固定表示型CTA vs フローティング型CTA |
OptimizeNEXTは、ページに手を加えることなく表示の出し分けが可能なため、サイトの運営体制に制約がある場合でも柔軟に運用できます。
PDCAを高速に回したい担当者にとって、定量的な改善を実現する強力な武器となるツールです。
まとめ
CTAはオウンドメディアにおいて、単なる「ボタン」ではなく、検索流入からコンバージョンへと読者を導く“接客導線”そのものです。設置場所・文言・デザイン・色・表示タイミングにいたるまで、細部を戦略的に設計することで、クリック率とCVRを大きく改善することが可能です。
また、最適なCTAは一度設置して終わりではなく、計測と分析、そしてABテストによる改善の積み重ねで生み出されるものです。GoogleタグマネージャーやGA4、Microsoft Clarity、OptimizeNEXTなどのツールを組み合わせて活用することで、属人的ではない、再現性のある改善サイクルが実現できます。
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