リンクジュースとは、SEO界隈で使われている俗語で、Webサイト間のリンクを通して、評価や権威がページからページへ流れるという概念です。
また、リンクジュースの概念は、PageRank(ページランク)という検索アルゴリズムから生まれたものです。
ページランク(PageRank)は、Webページ間のリンクを投票とみなし、多くの重要なページからリンク(=被リンク)されているページほど、重要度が高いと判断されます。つまり、重要なページからのリンクは、そうでないページからのリンクよりも高い評価を受けます。
その際に、リンクを経由してその「評価」がリンクされたページがジュースのように移動するように見えることがリンクジュースと例えられるのです。
この記事では、リンクジュースの基礎知識から、SEO効果、PageRankとの関係性、そして具体的な活用方法まで、詳しく解説していきます。
リンクジュースを理解することで、質の高い被リンクを獲得し、ウェブサイトの検索順位向上に繋げることが可能になります。これを読めば、リンクジュースの重要性を理解し、SEO対策に役立てることができるでしょう。
リンクジュースの前提知識
リンクジュースとは、SEO界隈で使われている俗語で、Webサイト間のリンクを通して、検索エンジンからの「評価」がページからページへ流れるという概念です。ただし、Googleは公式にこの概念を認めていません。
良質なWebサイトからのリンクは、あなたのWebサイトの信頼性を高め、検索エンジンからの評価向上に繋がると考えられています。
イメージとしては、ジュースが溢れていくように、あるページから別のページへ、SEO効果を高める評価値が流れ込んでいくイメージです。そして、この流れ込んだ評価値の量が多いほど、ページのSEOにおける価値は高まると考えられています。そのため、評価が高いページに別のページのURLを貼ることで、その別のページの評価が上がると考えられています。
リンクジュースはPageRankの仕組みからきている
ただ、リンクジュースについて語る前に、その前提となるPageRank(ページランク)についてご説明させていただきます。
PageRankの概要
リンクジュースという概念が生まれる背景には、PageRankというGoogle検索の初期のアルゴリズムがありました。
PageRank(ページランク)は、1998年にGoogleの創設者ラリー・ペイジ氏によって開発された、Webページの重要度を評価するアルゴリズムです。Webページ間のリンクを投票とみなし、多くの重要なページからリンク(=被リンク)されているページほど、重要度が高いと判断されます。
上記の図解のように、PR(XX)という形でページが一定の基準で評価され、リンクを経由してその「評価」が別のページにも移動するような形になります。この「評価」を、当時のSEO界隈では「リンクジュース」と比喩的に表現していました。
初期のページランクは、被リンクの数と質を基に、Webページを0から10までの11段階で評価していました。被リンクが多いページや、重要なページからの被リンクが多いページほど、ページランクが高くなる仕組みでした。
Google は、さまざまなシステムを導入してページ間の相互リンクを理解し、ページの内容と、検索クエリに対して最も有益な情報を提供するページを判断しています。その中でも PageRank は、Google がサービスを開始した当初から使用されているコア ランキング システムの一つです。興味のある方は、オリジナルの PageRank の研究論文および特許をご覧になり、詳細をご確認ください。PageRank の仕組みは当時から大きく進化しており、コア ランキング システムの一部として機能し続けています。
引用元:Google 検索ランキング システムのご紹介 | Google 検索セントラル
被リンクの数と質に基づいてWebページの重要度を評価する仕組み
ページランクの仕組みは、一言で言うと「被リンクの数と質に基づいてウェブページの重要度を評価する」というものです。具体的には、以下の二つの指標で判断するものです。
評価基準 | 説明 |
---|---|
数 | ・他のページからどれだけ多くのリンクを受けているかを示します。 ・リンクが多いほど、重要度が高いと評価されます。 |
質 | ・リンク元のページの質も評価に影響します。 ・権威のあるサイトや関連性の高いページからのリンクは、より重要視されます。 |
これらの要素を考慮して、ページランクは0から10までの11段階で評価されます。数字が大きいほど、そのページは重要度が高いと判断され、検索結果の上位に表示されやすくなります。
さらに、被リンクを送信しているページのページランクが高いほど、その被リンクの質が高いと判断されます。つまり、権威のあるサイトからの被リンクは、より重要度の高い被
Googleの見解は「無視しろ」とのこと
ただ、この「リンクジュース」という概念ですが、Google自体は存在を否定しています。 「リンクジュース」という小手先の概念ではなく、「ユーザー」に役に立つコンテンツ作成をするように述べています。 実際に、2020年にジョン・ミュラー氏の公式アカウントでも以下のように述べています。
“I’d forget everything you read about ‘link juice.’ It’s very likely all obsolete, wrong, and/or misleading. Instead, build a website that works well for your users.”
和訳:「『リンクジュース』について読んだことは全て忘れた方がいい。全てが時代遅れで間違っていて、さらに誤解を招く可能性が非常に高い。それよりも、あなたのユーザーにとって好ましいように機能するWebサイトを作ってほしい。」
ジョン・ミューラー氏Xアカウント(2020年)
とはいえ、多くのSEO専門家は、リンクがWebサイトの評価に影響を与えるという点で、リンクジュースの考え方は依然として有効だと考えています。 そのため、SEO対策を行う上でも、リンクジュースの概念を理解しておくことは重要です。
PageRankの変遷とリンクジュースの関係性
PageRankは、GoogleがかつてWebサイトの重要度を評価するために使用していたアルゴリズムです。 その仕組みは時代とともに進化を遂げてきました。 ここでは、PageRankの変遷とリンクジュースの関係性について解説していきます。
フェーズ①|ランダムサーファー
GoogleへのPageRankの導入は1998年の出来事です。スタンフォード大学のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって考案された「ランダムサーファーモデル」というアルゴリズムをベースとしていました。
ランダムサーファーモデルは、Web上をランダムにクリックしてサーフィンするユーザーを想定したものです。つまり、被リンクが多いページや、権威ある(PageRankの高い)ページからの被リンクが多いページほど、ランダムサーファーが訪れる確率が高くなります。この訪問確率をPageRankとして数値化することで、ページの重要度を評価しました。
ただ、ランダムサーファーモデルは被リンクの数のみで重要性を測ったため、コンテンツの品質を無視した被リンク獲得が横行するきっかけになりました。ただ、この時に
フェーズ②|リーズナブルサーファー
2004年にユーザーの実際の行動をより反映したリーズナブルサーファーモデルが実装されました。このモデルは、リンクの位置、方法、数量、さらにリンク先の構造までも解析します。これにより、ただリンクを貼っただけではリンクジュースの効果が薄まりました。
リーズナブルサーファーモデルでは、ページの重要度を一つ一つ決定するという考え方を取っています。例えば、ページの上部に表示される目立つリンクや、興味を引くアンカーテキストを持つリンクは、クリックされる可能性が高いと判断され、その分、重要度も高くなります。
これにより、クリックされやすいリンクほど多くのPageRankを流し、クリックされにくいリンクほどPageRankの流出量を減らすという仕組みを導入しました。そのため、この時点でリンクジュースを流そうと考えて、ただ無闇にリンクを貼るだけでは効果的にリンクジュースを流すことができなくなりました。
むしろ、「ユーザーが欲しい」と考える場所にリンクを貼ってこそ初めて効果的にリンクジュースを自社ページに流すことができるようになるのです。
内部リンクで順位は上がるがリンクジュースとは無関係
これまで、外部リンクを前提としたリンクジュースの説明をしてきました。ロジックとしては、外部リンクと同じく、評価の高いページからのリンクを受けることで、そのページの評価が上がるというものです。
ただ、内部リンクも同様に、ただリンクを貼れば良いというものではなく、ユーザーにとって有益な箇所に設置する必要があるということです。ランダムサーファーモデルまでは、ただリンクを貼っていれば評価を渡すことができました。
しかし、リーズナブルサーファーモデル以降は、クリックされるリンクでなければページ先の評価を最大化することができなくなったのです(以下の図解参照)。
リンクジュースに影響を与える要素
リンクジュースの量は、様々な要素によって変化します。 PageRankの仕組みを理解するためにも、まずはリンクジュースに影響を与える要素を把握しておきましょう。
要素①|アンカーテキスト
アンカーテキストとは、リンクが貼られている文字列のことです。 アンカーテキストにキーワードを含めることで、リンク先のページがそのキーワードに関連していることをGoogleに伝えることができます。
要素②|リンクの推定クリック率
ユーザーが実際にクリックする可能性が高いリンクは、より多くのリンクジュースを伝えることができると考えられています。
分かりやすく魅力的なアンカーテキストを設定したり、リンクを目立つ場所に配置したりすることで、クリック率を高めることができます。また、ページは丈夫であればあるほどクリック率が高まります。関連性が高くユーザーがクリックしたくなるようなページのURLであれば
要素③|内部リンク
内部リンクとは、同じWebサイト内のページ同士を繋ぐリンクのことです。 内部リンクを効果的に活用することで、ユーザーの回遊率を高めるだけでなく、リンクジュースをサイト全体に効率的に分配することができます。
内部リンクは、サイトに訪れたユーザーが必要とするサイト内の情報にアクセスできるようにするために設置されるべきです。
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要素④|nofollow/ugc/sponsored属性
リンクにnofollow属性を付与すると、リンクジュースを伝えないようにすることができます。
リンクにその他の適切な値がなく、そのリンクとサイトを関連付けたくない場合、またはリンク先のページをサイトからクロールさせないようにする場合は、nofollow の値を使用します。
引用元:Google検索セントラル『Google に外部リンクの関係性を伝える』
また、ugc属性はユーザー生成コンテンツへのリンクに、sponsored属性は広告リンクに付与する属性です。 これらの属性を適切に使い分けることで、リンクジュースの流れをコントロールすることができます。
リンクの種類 | 説明 | rel属性 | SEO効果 |
---|---|---|---|
dofollowリンク | 検索エンジンがリンク先サイトへの信頼と価値を認識。 | – | ページランク向上に貢献 |
nofollowリンク | 検索エンジンにリンク先への信頼の伝達を停止させる。 | nofollow | ページランクへの直接的影響はないが、訪問者増加に貢献する可能性あり |
UGC(ユーザー生成コンテンツ)リンク | ユーザー生成コンテンツからのリンクを識別する。 | ugc | ページランクへの直接的影響はない |
スポンサーリンク | 金銭的取引に基づくリンクを明示する。 | sponsored | ページランクへの直接的影響はない |
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要素⑤|その他
上記以外にも、リンクジュースに影響を与える要素は様々です。
- リンク元のWebサイトのドメイン年齢
- リンク元のWebサイトのPageRank
- リンク元のWebサイトとの関連性
- リンクが設置されているページのコンテンツの質
- リンクの数
これらの要素を総合的に判断し、Googleはリンクジュースの量を決定しています。
リンクジュースを渡すか否かの判断基準
リンクジュースは、すべてのリンクから同じように流れるわけではありません。 リンクを設置する際には、以下の基準を参考に、リンクジュースを渡すかどうかを判断しましょう。
基準①|無関係なリンクならnofollow設定をする
リンク先のWebサイトとあなたのWebサイトの関連性が低い場合は、nofollow属性を設定してリンクジュースを渡さないようにしましょう。 nofollow属性とは、リンク先に評価を渡さないようにするためのHTMLタグです。 無関係なサイトにリンクジュースを渡してしまうと、あなたのWebサイトの評価にも悪影響を与える可能性があります。
例えば、あなたが運営するWebサイトが「美容」に関するサイトで、リンク先が「金融」に関するサイトの場合、関連性が低いためnofollow属性を設定することが適切です。
基準②|関係性が高いなら進んでdofollowリンクを設置する
逆に、リンク先のWebサイトとあなたのWebサイトの関連性が高い場合は、積極的にリンクを設置しましょう。 関連性の高いサイトからのリンクは、あなたのWebサイトの評価を高める効果が期待できます。
例えば、あなたが運営するWebサイトが「旅行」に関するサイトで、リンク先が「ホテル予約」に関するサイトの場合、関連性が高いためリンクを設置することが適切です。
まとめ
この記事では、SEO対策において重要な「リンクジュース」について解説しました。リンクジュースとは、Webサイト間のリンクを通して評価や権威が流れるという概念です。Googleは公式に認めていませんが、多くのSEO専門家はリンクがWebサイトの評価に影響を与えると考えています。
リンクジュースは、Webサイト全体の評価向上、ユーザビリティ向上、検索順位向上に貢献します。かつてGoogleが使用していたPageRankは、リンクジュースの量と質を基に計算されていました。PageRankは廃止されましたが、リンクジュースの概念はSEO対策において依然として重要です。
リンクを設置する際は、関連性の低いサイトにはnofollow属性を設定し、関連性の高いサイトには積極的にリンクを設置することで、SEO効果を高めることができます。