オウンドメディアのKPI設定ガイド|目標設定方法や指標一覧を紹介。

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オウンドメディアは単に記事を公開するだけでは成果につながりません。メディア運用の成否を左右するのは、「何をもって成功とみなすのか」を定義づけるKPI(重要業績評価指標)の設計と運用です。

KPIのない運用では、施策の優先順位が曖昧になり、社内共有やPDCAの回転が停滞します。対して、目的に即したKPIを設けることで、狙う成果が明確になり、メディア運用が戦略的に進行します。さらに、KGI(重要目標達成指標)とKPIを階層的に紐付け、行動目標まで分解することで、施策の一つひとつが事業貢献と連動する構造を構築できます。

本記事では、オウンドメディアにおけるKPIの基本概念から、フェーズ別の設定手順、指標の種類、効果的な策定ポイントに至るまでを体系的に解説します。KPI設計に悩むすべてのメディア担当者にとって、実務に即した指針となるはずです。

この記事で得られる内容
  • オウンドメディアにおけるKPIとKGIの違い
  • 代表的なKPI指標とその分類
  • 成長フェーズ別のKPI設定の考え方
  • KPI策定の具体的ステップと注意点
プロフィール
この記事を書いた人
山口耀平(Yamaguchi Yohei)

株式会社検索順位の海賊CEO。日本マーケティング学会会員。SEO歴5年のSEOコンサルタント。自身のアフィリエイトサイトをグロースさせた経験から、現在は企業のSEM支援を行っている。具体的には、オウンドメディア運用代行、SEO戦略立案、記事制作代行などを実施している。
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オウンドメディアではKPI(重要業績評価指標)が必須

オウンドメディアのKPIとは?

オウンドメディア運用では、成果の可視化が欠かせません。KPI(重要業績評価指標)を明確に設定することで、担当者の迷いや手戻りを防ぎ、継続的な改善につなげられます。

KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、KGI(最終目標)を達成するための進捗を定量的に測る指標です。目標達成度の評価や行動改善の指針、チーム内の共通認識として活用されます。

オウンドメディアでは、多くの数値が計測可能ですが、中心となる指標(センターピン)を見極めることが重要です。

また、KPIの数は絞るようにしましょう。KPIは単なる目標ではなく、事業貢献を支える行動管理の基盤です。効果を最大化するには、KPIを事業戦略と一貫性を持たせて設定する必要があります。

オウンドメディアのKGIとKPIの関係性

また、オウンドメディアでKPIを設定する際には、KGIから逆算して策定することが重要です。KGI(重要目標達成指標)は最終的な事業成果を示すものであり、多くの場合、「リード件数」や「売上金額」などのゴール指標が該当します

これに対してKPIは、KGIの達成に向けて必要となる定量的な数値指標を指します。「リード数を100件達成しろ!」といった漠然とした指示では、担当者が具体的にどう行動すべきかを判断しづらくなります。

しかし、KGIを達成するために必要なセッション数やCVR(コンバージョン率)などを明確にし、各指標ごとに担当を分担すれば、担当者は自らの役割と取るべきアクションを的確に把握でき、次の行動にもつなげやすくなります。

そのため、KPIを策定する際には、必ずKGIを起点に考える必要があります。KGIと無関係なKPIでは、実行しても意味を成さない恐れがあるため注意が必要です。このように、オウンドメディア運用では、「ゴールから逆算して管理可能な数値を設計する」ことが成功の鍵となります。

オウンドメディアで使用されるKPI一覧

オウンドメディアの運用において活用される主なKPIを、以下の表にまとめます。

分類指標名意味
集客検索順位指定キーワードでのGoogle検索順位
表示回数検索結果でページが表示された回数
検索エンジンのCTR表示に対してクリックされた割合
接客セッション数Webサイト訪問数(離脱後の再訪は別カウント)
PV(ページビュー)数閲覧されたページ数
ページ内のクリック率CTAなど重要リンクのクリック率
スクロール率ページ内の読了度合い
UU(ユニークユーザー)数一定期間に訪問したユニークユーザー数
追客CV数(コンバージョン数)資料請求・問い合わせなどの完了数
CVR(コンバージョン率)訪問に対するCVの割合

集客(検索エンジン上の指標)

集客に関するKPIは、オウンドメディアが外部からどれだけアクセスを集められているかを測るための基礎指標です。特に検索エンジンからの自然流入は、広告に頼らない安定的な訪問数の源泉であり、長期的に成果を出し続けるうえで重要なチャネルです。検索結果における表示回数やクリック率、検索順位などを継続的に計測することで、SEO施策の効果を定量的に検証できます。

検索エンジン上の代表的な指標は以下の3つです。

集客(検索エンジン上の指標)
  • 検索順位
  • 表示回数
  • 検索エンジンのCTR(クリック率)

これらの数値が向上すれば、ターゲット層との接点が増えている証拠となります。一方で、表示されていてもクリックされない場合は、タイトルやディスクリプションの改善が必要です。

検索順位

検索順位は、特定のキーワードに対してWebページが検索結果に何位で表示されているかを示す指標です。Google検索で上位に表示されるほどクリック率は高まる傾向にあり、1位と10位ではCTRに10倍以上の差が生まれることも珍しくありません。実際に、検索順位が1位と4位の間でも30%以上の差が開くと言われています。

そのため、ターゲットとするキーワードでの順位を定点的に計測し、順位変動に一喜一憂するのではなく、長期トレンドでの上昇を目指すことが肝要です。順位の改善には、キーワード選定、内部リンクの強化、E-E-A-T要素の充実などが必要です。

検索順位の計測には、GRC順一くんなどのツールを使用する必要があります。特に無料だと、その時点でしか計測できませんが先にあげたツールはキーワードを設定すれば継続的に順位変動を記録してくれるので優れています。

弊社の検索順位を計測する環境

表示回数

表示回数は、特定のページが検索結果に表示された回数を示す指標です。ユーザーが実際にページをクリックしたかどうかにかかわらず、検索結果にページが露出した時点でカウントされます。

表示回数の増加は、SEOのキーワード戦略がターゲット層と合致しており、検索エンジンから一定の評価を受けている状態を意味します。逆に、上位に表示されているにも関わらず表示回数が少ない場合は、キーワードの検索ボリューム自体が少ない可能性があるため、再選定が必要です。

あまり、表示回数をKPIに設定するケースは多くありませんが検索ボリュームが小さい場合等に表示回数をKPIに置くケースもあります。

また、表示回数は主にGoogle Search Console(サーチコンソール)からデータを取得することができます。

検索エンジンのCTR(クリック率)

CTR(Click Through Rate)は、検索結果にページが表示された回数に対して、実際にクリックされた割合を示す指標です。たとえば、100回表示されて10回クリックされた場合、CTRは10.0%となります。

クリック率は、基本的に検索順位によって大きく変動する傾向があります。そのため、基本的には検索順位を追えばクリック率はついてくる傾向にあります。

Google検索順位クリック率
Organic 1位39.8%
Organic 2位18.7%
Organic 3位10.2%
Organic 4位7.2%
Organic 5位5.1%
Organic 6位4.4%
Organic 7位3.0%
Organic 8位2.1%
Organic 9位1.9%
Organic 10位1.6%
引用元:2024 comparison of Google organic clickthrough rates (SEO CTR) by ranking position

しかし、検索順位が高くてもCTRが低ければ、タイトルやディスクリプションがユーザーの意図とずれている可能性が高く、改善の余地があります。特に1~3位に表示されているページでは、CTRが20%を下回るようであれば、見直しの対象と考えるべきです。

接客(サイト内のユーザー行動指標)

接客に関するKPIは、サイトに訪問したユーザーがどのような行動を取っているかを示す指標です。仮に流入数が多くても、サイト内での離脱が早かったり、深く閲覧されていない場合は、コンテンツの質や導線設計に改善余地があると見なせます。

接客に関する主な指標は以下のとおりです。

集客(検索エンジン上の指標)
  • セッション数
  • PV(ページビュー)数
  • ページ内のクリック率
  • スクロール率
  • UU(ユニークユーザー)数

それぞれの数値を定点観測し、ユーザー体験の良し悪しを可視化することで、改善施策に根拠を持たせることができます。

セッション数

セッション数は、Webサイトへの訪問回数を示す指標です。同じユーザーが30分以上間隔を空けて再訪した場合は別セッションとしてカウントされます。

セッション数は主に以下のような数式に分解することができます。

  • セッション数 = UU(ユニークユーザー)数 × 再訪問率

純粋なアクセス回数として把握できるため、集客施策全体の効果を確認する際の入口指標として活用されます。ただし、セッション数が多くても滞在時間が短い場合は「質の低いアクセス」である可能性もあるため、他の行動指標と合わせて分析することが必要です。

PV(ページビュー)数

PV数は、ユーザーによって閲覧されたページの総数を表します。1人のユーザーが複数のページを閲覧した場合、そのすべてがカウントされます。主に

  • PV数 = セッション数(訪問数) × ページ/セッション

この数値が高ければ、サイト内に興味深いコンテンツが多く存在しており、回遊性の高い設計になっていると判断できます。一方で、PV数が少ない場合は、リンク導線の設計ミスやページタイトル・内容に改善の余地がある可能性があります。

UU(ユニークユーザー)数

UU数は、一定期間内にWebサイトを訪れたユニーク(重複なし)のユーザー数を表します。同一人物による複数回の訪問は1回とカウントされるため、純粋なリーチ数を把握するのに有効です。

UU数に関しては以下のように分解することができます。

  • UU数 = 新規ユーザー数 + リピーター数

特に認知フェーズにおいては、このUU数の伸びが重要指標となります。ただし、UU数の増加だけを目的とした施策は短期的になりがちなため、CVや回遊率と合わせた総合的な評価が重要です。

ページ内のクリック率

ページ内のクリック率とは、記事本文中のリンクやCTA(資料請求・問い合わせボタンなど)がどれだけクリックされたかを測る指標です。

ページ内のクリック率は以下のように分解することができます。

  • ページ内のクリック率 = ページ内でクリックされた回数 ÷ ページ閲覧数(PV)

たとえば「お問い合わせはこちら」や「詳しく見る」などのボタンがどれだけ反応されたかを数値化することで、コンテンツがどの程度ユーザーを動かせたかを評価できます。改善の際は、ボタンの配置場所、デザイン、文言などの要素が見直し対象となります。

スクロール率

スクロール率は、訪問ユーザーがページをどこまで読み進めたかを示す指標です。ページの下部まで読まれている場合は、コンテンツが高い関心を引いており、適切に情報提供できている可能性が高いです。

スクロール率の割合別に、どのような改善アプローチがあるかまとめさせて頂きました。

到達率説明改善アプローチ例
25%ページ上部の第1セクション(例:ファーストビュー)まで到達した割合・ページ読み込み速度の改善
・ファーストビューに魅力ある情報を配置
50%ページ中段に到達したユーザーの割合・読了モチベーション維持のための流れの設計
・ビジュアルの差し込み
75%CTAや中段リンクが多い位置。スクロールにより情報収集意欲が高い層が到達・モチベーションに応じた文脈設計
・CTAの仮設配置によるABテスト
100%最下部(フッター)まで読了したユーザーの割合・フッターCTAや関連記事導線を明確に設置
・読了者特化のコンバージョン訴求

一方で、冒頭で離脱されている場合は、リード文やファーストビューに課題があることが多く、導入文やビジュアルの最適化が必要になります。ページごとにスクロール率を把握することで、改善すべきコンテンツが明確になります。

追客(コンバージョン関連指標)

追客に関するKPIは、オウンドメディアが実際に事業成果へどれほど貢献しているかを数値で測る指標です。集客と接客の先に位置づけられる「コンバージョン」は、

  • 資料請求
  • お問い合わせ
  • 無料トライアルの申込

といった、明確なアクションを意味します。単なる認知獲得ではなく、購買や商談につながる行動を引き出せているかを判断するには、追客のKPIが欠かせません。

オウンドメディアのゴールを「リード獲得」に設定している企業にとって、以下の2つの指標は特に重要です。

集客(検索エンジン上の指標)
  • CV数(コンバージョン数)
  • CVR(コンバージョン率)

どちらも、メディア運営の成果そのものを表す指標であり、事業貢献度を定量的に説明する際の根拠となります。これらの数値を伸ばすためには、CTAの配置、導線の設計、フォームのUI改善など、多角的な取り組みが求められます。

CV数(コンバージョン数)

CV数は、資料請求や問い合わせ、会員登録などの具体的な成果に至った回数を示す指標です。オウンドメディアを営業支援チャネルと位置づけている場合、この数値の最大化が運営目的の核心となります。

  • CV数(コンバージョン数) = セッション数 × CVR(成約

たとえば、月10件の問い合わせ獲得をKGIに設定している場合、その進捗を測るのがCV数です。SEOでの上位表示や回遊設計が機能していても、CV数が伸びていなければビジネスインパクトは限定的です。また、CVを最大化するためには主に以下の二つの戦略しかありません。

説明戦術例
流入最大化多くのユーザーに見てもらうSEO強化/広告配信/SNS拡散/パートナー連携
CVR最適化来たユーザーをしっかり成約させるランディングページ改善/CTA・フォーム最適化/ABテスト

CVR(コンバージョン率)

CVRは、訪問ユーザーのうち何%がコンバージョンに至ったかを示す割合です。たとえば、1,000ユーザーのうち10人が資料請求を行った場合、CVRは1.0%となります。

CVRは訪問数に依存しないため、サイト改善の効果測定やA/Bテストの評価指標として有効です。たとえ流入が少なくても、CVRが高ければ効率的なリード獲得が実現できていると判断できます。逆に、CVRが低ければフォームやCTA文言の見直しが求められます。

オウンドメディアは成長フェーズ別にKPIを設定する

オウンドメディアの運用においては、すべての時期に同じKPIを適用するのではなく、成長フェーズに応じて適切な指標を選定する必要があります。メディアには「立ち上げ期」「成長期」「成熟期」という段階が存在し、それぞれの段階で目指すべき成果や取り組むべき施策が大きく異なります。

このように、段階に応じてKPIを柔軟に見直すことで、メディアの本来の目的と常に整合性のある運用が実現できます。

立ち上げ期|メディアの土台を整える

立ち上げ期とは、オウンドメディアを公開してから、おおよそ半年〜1年目までの初期フェーズを指します。この時期の最大の目的は、検索エンジンからの評価を獲得し、露出機会を増やすことです。

そのため、KPIには主に数値ではなく「行動」に関する指標を設定するのが適切です。具体的なKPIとしては、以下のような指標が一般的に用いられます。

  • 記事数

立ち上げ期は成果が出にくいため、CV(コンバージョン)などの成果指標を重視しすぎると、施策の方向性を誤るリスクがあります。まずは検索流入を安定的に獲得するための土台づくりとして、記事数をKPIに据えることが重要です。

とくにこの時期には、顕在層に向けた記事コンテンツの拡充を意識しましょう。なぜなら、CVが発生しやすいのは、商材の比較・検討を行っているユーザー層であり、「おすすめXX選」などのコンバージョンに近い意図を持つ記事が効果的だからです。

反対に、「〜とは?」のような潜在層向けの記事ばかりを量産するのは避けるべきです。コンバージョンにはつながりにくいため、立ち上げ期の施策としては非効率です。

実施すべき施策
  • オウンドメディア構築
  • キーワード設計及びリストの作成
  • ディレクターとライターの採用
  • 記事制作(顕在層向け)

成長期|集客の最大化

成長期は、ある程度検索流入が安定し、記事数も蓄積されてきた段階です。記事数がある程度蓄積された中で、集客の精度をあげていくフェーズに移行していきます。

主に設定すべきKPIは以下のとおりです。

  • 検索順位の上昇率(狙ったキーワードで30位以内に入る記事数)
  • 表示回数(Googleサーチコンソールに基づく月間の総表示回数)
  • インデックス数(検索エンジンに認識されたページ数)
  • 被リンク獲得数(外部サイトからのリンク掲載数)

このフェーズでは、単純なアクセス数の増加だけでなく、CVに繋がる可能性のある「質の高い流入」と「キーワード設計」が問われます。ユーザーのニーズと記事内容のマッチング精度が重要になるため、CVRが高い記事に対してはリライトを加えて検索順位の情報を目指していくべきです。

実施すべき施策
  • 被リンク営業
  • 内部リンク構造最適化
  • 記事リライト
  • 新規記事制作(準顕在層向け)

成熟期|CVRの最適化

成熟期に入ると、オウンドメディアが事業の中で一定の役割を担う存在となってきます。目安としては、メディア開設から2年以上が経過し、月間検索流入やCV数が安定している状況です。この段階では、CVRにフォーカスして流入からCVまでの導線を精緻にしていく必要性があります。

設定されるKPIの一例は以下のとおりです。

  • CVR(コンバージョン率)
  • CVRの高い記事の検索順位
  • フォーム突破率(問い合わせフォームを突破した割合)

成熟期は、KPIの性質がより長期的・定性的になっていくため、数値だけにとらわれすぎず、組織全体の営業・マーケティングとの連携を意識した設計が必要になります。経営目線でのKGIとの整合性も問われるフェーズです。

実施すべき施策
  • CRO改善
  • EFO改善
  • CVポイントの構築(ホワイトペーパー制作)
  • 記事リライト(顕在層向け記事へのテコ入れ)
  • 新規記事制作(潜在層向け)

オウンドメディアのKPI設定の手順

オウンドメディア運用におけるKPI設定は、単なる数値目標の列挙では意味を成しません。重要なのは、事業の目的と戦略に基づき、論理的に紐づいた指標を段階的に設計することです。以下の7つのステップに沿って進めることで、実効性のあるKPIを構築できます。

それぞれのステップを順に見ていきましょう。

STEP①|事業上の課題を特定する

最初のステップは、オウンドメディアが解決すべき事業上の課題を明確にすることです。目的の定まっていないメディアは成果につながらず、リソースの浪費につながります。KPIを設計する前提として、まずは組織全体が抱える営業・マーケティング上のボトルネックを洗い出すことが不可欠です。

たとえば、以下のような課題があれば、メディアの役割が明確になります。そのうえで、オウンドメディアで解決可能な範囲を定義することで、目的と手段の乖離を防げます。

  • 「見込み顧客のリード数が足りない」
  • 「広告費に依存しすぎている」
  • 「ブランド認知が弱い」

STEP②|KGI(重要目標達成指標)の設定

次に取り組むのは、KGIの設定です。KGIとは、メディア運用によって最終的に実現したい成果のことです。ここでの指標は「リード件数」「問い合わせ数」「受注額」など、事業成長に直接結びつく成果指標である必要があります。

たとえば、以下のような、明確かつ期限付きで設定することが重要です。

  • 「月間10件の問い合わせを獲得する」
  • 「半年以内に資料請求数を100件にする」

KGIが曖昧なままでは、KPIも曖昧になり、現場の運用精度が低下します。経営層とも認識を揃えるべきフェーズです。

STEP③|KPIを設定する

KGIを設定したら、そこに到達するための中間指標=KPIを設計します。KPIはKGIに直結する実行可能な数値であり、「検索流入数」「CVR」「クリック率」などの具体的な数値を使って構築します。

たとえば、月間10件の問い合わせ(KGI)を目指す場合、以下のような指標がKPIになります。

  • 「問い合わせページへのクリック率」
  • 「流入記事の検索順位」
  • 「セッション数」

KPIは多すぎても管理が煩雑になり、少なすぎても原因特定が困難になります。目安としては2〜4指標に絞るのが現実的です。

STEP④|施策を立案する

KPIを設定したら、それを達成するための具体的な施策を立案します。ここでは、どのような記事を制作し、どういった導線を設計するか、までを決定していきます。

具体的には以下のような施策を実施する必要性があります。

  • 対策するキーワードの確定
  • 記事制作の本数
  • 被リンク営業

もちろん、フェーズによって施策は変わるので、達成するために優先度をつけて施策を立てましょう。

たとえば、「検索順位を上げる」ためにはキーワードの再選定や構成改善、「CVRを上げる」ためにはフォームの簡素化やCTA文言の変更などが考えられます。施策はKPIごとに1対1で対応づけられるよう整理し、誰がいつ何を実行するかまで落とし込みます。

STEP⑤|達成までのロードマップを構築する

施策が出揃ったら、それをスケジュールに落とし込み、達成までのロードマップを可視化します。重要なのは、短期・中期・長期のステップを分けて設計し、それぞれにマイルストーンを設けることです。

たとえば、3ヶ月後には検索順位を30位以内に、6ヶ月後には10位以内に入ることを目標にするなど、段階的な目標設定が効果的です。ロードマップをチームで共有することで、行動の優先順位が明確になり、実行精度が向上します。

STEP⑥|フェーズ別のKPIを設定する

前述のとおり、オウンドメディアには「立ち上げ期」「成長期」「成熟期」といったフェーズがあります。それぞれのフェーズにおいて、注力すべき指標も異なるため、KPIはその都度見直す必要があります。

立ち上げ期では表示回数や検索順位、成長期ではCVRやクリック率、成熟期ではLTVやブランドワード検索などがKPIの中心になります。成果の進捗を見ながら、フェーズ移行時にはKPIそのものをアップデートするのが健全な運用です。

STEP⑦|行動目標までブレイクダウンする

最後に、設定したKPIをもとに、担当者レベルでの「行動目標」にまでブレイクダウンします。KPIが数字であっても、実行に移されなければ成果は出ません。現場の動きを数値に直結させるには、誰が何をどこまでやるのかを具体化することが不可欠です。

たとえば「検索順位を改善する」というKPIに対しては、「週に3本リライト実施」「月に2回KWリサーチを実施」など、担当者単位のアクションプランにまで落とし込む必要があります。ここまでできて初めて、KPIは実行性を持ちます。

オウンドメディアのKPI策定のポイント

オウンドメディアのKPIは、単に設定するだけでは意味がありません。事業目標との整合性や実行可能性を担保したうえで、効果検証・改善が可能な状態で設計することが求められます。実効性のあるKPIを策定するには、以下の4つの観点が欠かせません。

オウンドメディアのKPI策定のポイント
  • ポイント①|事業課題から逆算して策定する
  • ポイント②|計測可能な数値を設定する
  • ポイント③|策定後の効果測定を実施する
  • ポイント④|成果につながる「行動指標」も定義する

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

ポイント①|事業課題から逆算して策定する

KPIの設定では、まず前提として「なぜオウンドメディアを運用するのか」という目的を明確にする必要があります。事業が抱える課題に対して、オウンドメディアがどう貢献できるのかを起点にKGIを定め、そのKGIから逆算してKPIを設定することで、戦略的に意義ある指標となります。

たとえば、リード不足に課題があるなら「問い合わせ数」や「資料請求数」をKGIに設定し、そこに至るまでのKPIとして「CVR」「フォーム遷移率」「検索流入数」などを設計します。このように因果関係が明確であることが、実行力あるKPIの条件です。

ポイント②|計測可能な数値を設定する

どれほど優れた施策も、結果を数値で測定できなければ改善につなげることができません。そのためKPIは「誰が見ても同じ数値になる」「定点で計測可能である」という条件を満たす必要があります。Googleアナリティクスやサーチコンソール、ヒートマップツールなどの指標と連動させることで、計測の客観性を確保します。

たとえば「ユーザーの興味を引く」といった曖昧な表現ではなく、「記事内のCTAクリック率を1.5%以上にする」など、具体的な数値に置き換えることが重要です。明文化された数値目標こそが、社内共有やチーム間の連携にも有効に機能します。

ポイント③|策定後の効果測定を実施する

KPIは設定して終わりではなく、運用しながら効果を測定し、継続的に見直すことで初めて意味を持ちます。施策実施後は「目標に対してどうだったか」「どの指標が改善されたか」「どの部分が機能していないか」を数値で振り返り、次のアクションに活かすサイクルを作ることが重要です。

たとえば、KPIとして設定した検索順位やCV数が想定通りに推移していない場合、記事内容や導線設計を再検討する必要があります。定期的な効果測定を前提としたKPIでなければ、施策と数値の因果関係が曖昧になり、改善が属人的になる恐れがあります。

ポイント④|成果につながる「行動指標」も定義する

最終的な成果指標(KGI)や中間指標(KPI)に加えて、現場レベルでの「行動指標」を設けることで、より実行性の高い運用が可能になります。行動指標とは、「記事制作本数」「リライト頻度」「CTA改善回数」など、担当者の行動を直接数値化したものです。

たとえば、KPIが「検索流入数の増加」であれば、行動指標として「月に5本以上のSEO記事を公開」「リライトは週2本以上」といった形で具体的に設定します。この行動指標によって、担当者が何をどの頻度で実行すればいいのかが明確になり、KPIの達成確度が飛躍的に向上します。

まとめ

オウンドメディアの成果を最大化するには、明確なKPIの設計が不可欠です。ただ記事を増やすだけでは、問い合わせや売上といった事業成果にはつながりません。事業課題から逆算したKGIを軸に、段階的かつ計測可能なKPIを設計し、施策→実行→検証のサイクルを繰り返すことが重要です。

また、オウンドメディアはフェーズによって注力すべきKPIが変化します。立ち上げ期には表示回数やインデックス数を、成長期にはCVRやユーザー行動を、成熟期にはLTVやブランド検索の増加を指標とし、常に戦略と一致した運用が求められます。

KPIを実行可能な「行動目標」にまで落とし込み、継続的にPDCAを回せる体制を整えることが、成果に直結するオウンドメディア運用の鍵です。

『検索順位の海賊』では、0→1の立ち上げからグロースフェーズまでを実践してきた、現場経験豊富なアフィリエイター出身者をコンサルタントとしてアサインしています。戦略設計からKPI設定、実行支援までを一貫してご支援可能です。

オウンドメディアの成果が頭打ちになっている方、これから本格的に立ち上げたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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