オウンドメディアの改善施策|課題の特定から成果につなげる方法を解説。

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※この記事は、当コラムのコンテンツ制作・編集ポリシーに沿って制作されています。

オウンドメディアの本質的な改善には、検索順位やCVRといった指標の変化に着目し、それぞれの数値に対応する構造的な要因を明確に把握することが必要です。

さらに、キーワード選定や記事構成だけでなく、被リンクやサイト内導線、商品設計など多面的なアプローチが求められます。

単なる記事更新では成果は出ません。指標を起点にした仮説検証と、フェーズごとの打ち手の最適化こそが、オウンドメディアを「成果を生む資産」へと変える鍵になります。本記事では、オウンドメディア改善の全体像を構造的に整理し、成果に直結する実践的な施策をステップ形式で解説します。

この記事でわかること
  • 成果が出ないオウンドメディアに潜む代表的な課題
  • 指標別に見る改善施策と評価の方法
  • 実行すべき改善の優先順位とその判断基準
  • 課題特定から売上改善までの5ステップ手順

この記事は、SEO記事制作代行会社かつオウンドメディア運用代行会社である株式会社検索順位の海賊の「1000本以上の記事制作を行ってきた知見」に基づいて執筆しています。

プロフィール
この記事を書いた人
山口耀平(Yamaguchi Yohei)

株式会社検索順位の海賊CEO。日本マーケティング学会会員。SEO歴5年のSEOコンサルタント。自身のアフィリエイトサイトをグロースさせた経験から、現在は企業のSEM支援を行っている。具体的には、オウンドメディア運用代行、SEO戦略立案、記事制作代行などを実施している。
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・キーワードチェック

オウンドメディアの改善には課題の特定が重要

オウンドメディアで成果を得るためには、表面的な施策にとどまらず、まず「どこがボトルネックになっているのか」を見極める必要があります。多くの企業では、記事数や更新頻度を増やすといった“量的な改善”に偏りがちですが、成果が出ない本質的な原因は、より深い構造的課題に潜んでいます。

たとえば、検索意図とずれた記事を大量に公開していたり、CVにつながらない流入ばかりを増やしていたりするケースが典型的です。こうした問題には、施策に取りかかる前に「どの指標が悪化しており、それはなぜか」を明確にすることが不可欠です。

闇雲に施策を講じるのではなく、指標に基づいた戦略的なリライトや構造改善を実行しましょう。

オウンドメディアの改善の前提にはKPIが明確に策定されている必要がある

改善を進める前提として、オウンドメディアのKPI(重要業績評価指標)が明確に策定されていることは非常に重要です。KPIが適切に設定されていればこそ、課題を正確に特定でき、改善施策もスムーズに展開できます。

KPIとは、KGI(最終目標)を達成するための進捗を定量的に測定するための指標です。目標の達成度を評価する手段であると同時に、日々の行動を改善する指針となり、チーム全体の共通認識としても機能します。一方、KGIは最終的な事業成果を表すもので、売上や受注数などがこれに該当します。

オウンドメディアの改善には、課題の特定が重要なのはもちろんですが、KGIから逆算されたKPIが策定されていることが重要です。基本的にオウンドメディアの課題は、売り上げやCV数などのKGI/KPIを達成するために必要なものになるからです。オウンドメディアのKPI策定の方法について知りたい方は以下の記事もあわせてお読みください。

▼関連記事
オウンドメディアのKPI設定ガイド|目標設定方法や指標一覧を紹介。

オウンドメディアでよく発生する課題

オウンドメディアの改善に取り組む際、まず向き合うべきは「何が課題か」を正確に把握することです。単に記事数を増やすだけでは成果には直結しません。以下のような根本的な課題が、成果の妨げになっているケースが多く見受けられます。

オウンドメディアでよく発生する課題
  • キーワード戦略の作り込みが甘い
  • コンテンツが最適化されていない
  • 被リンクの獲得が不足している
  • サイト内の構造が最適化されていない

これらの課題を順に見ていきましょう。

課題①|キーワード戦略の作り込みが甘い

成果につながらないオウンドメディアの多くは、初期設計のキーワード戦略・選定に問題を抱えています。特に「なんとなく自社のサービスのユーザーが調べそうな検索キーワードで記事を量産している」ケースでは、検索流入は得られてもCVにはつながりません。この原因としては、以下の3点が考えられます。

  • 顕在層むけのキーワードの対策が不足している
  • 顕在層や準顕在層・潜在層のセグメントができていない
  • SERP上位の競合難易度を無視している
  • 対策キーワードに検索ボリュームがない

そのためには、キーワード選定の段階でCVRが高いと想定されるキーワードを優先的に抽出し、準顕在層・潜在層向けのキーワードよりも優先してコンテンツ制作を進める必要があります。

もちろん、競合性の高い市場では、潜在層向けのキーワードしか狙える余地がないケースもあります。その場合は、ホワイトペーパーや無料診断コンテンツなどを活用し、戦略的に潜在層向けキーワードからCVを獲得する手法も有効です。

とはいえ、基本方針としては、顕在層キーワードから着手する姿勢を徹底することが、オウンドメディアの成果最大化につながります。

課題②|コンテンツが最適化されていない

ユーザーと検索エンジンの双方から評価されるためには、コンテンツへのSEO対策が欠かせません。SEOにおけるコンテンツ最適化では、以下のような課題が頻出します。

  • 検索意図との不一致
  • 読みやすさ(UI/UX)の欠如
  • 独自性、権威性、信頼性の不足

たとえば、「◯◯とは?」と検索するユーザーは、単なる定義だけでなく、関連する背景や悩みの解決策までを求めていることが少なくありません。にもかかわらず、表面的な情報の羅列で終わっている記事では、検索順位も読者満足度も高まりません。読後に次の行動が明確でないコンテンツは、CVにもつながりにくくなります。

改善のためには、まず構成段階で検索意図を深く理解し、必要なトピックを網羅することが重要です。さらに執筆段階では、一次情報や信頼できる引用を活用し、独自性の高い内容を意識する必要があります。こうした最適化を重ねることで、記事は自然検索から安定した流入を生む資産へと成長します。

課題③|被リンクの獲得が不足している

どれだけ高品質なコンテンツを作っても、外部からの評価が得られなければ検索上位には届きません。特に被リンクの獲得が弱いと、ドメイン全体の評価が上がらず、SEOでの成果が限定されてしまいます。このような状況では、次のような問題が起きやすくなります。

  • 上位表示される記事が限られる
  • 継続的に順位が安定しない
  • コンテンツが評価されるまでに時間がかかる

たとえば、競合がページ内容と関連性の高いキーワードで上位表示しており、さらにそのページが外部サイトから被リンクを獲得している場合、どれだけコンテンツの品質を高めても、検索上位に食い込むのは容易ではありません。

このようなケースでは、被リンク対策が上位表示の鍵となります。弊社では、現在でも相互リンク営業などを活用した外部対策は、短期間で効果を上げやすい手法であると考えています。実際にご支援させていただいている企業様の中でも、狙いたいページに対して被リンクを集中的に当て込むことで、検索順位の向上に成功している事例があります。

課題④|サイト内の構造が最適化されていない

優れたコンテンツが揃っていても、サイトの内部構造がSEOに最適化されていないとSEO効果が大きく損なわれます。特にカテゴリ設計や内部リンク設計が曖昧だと、Googleがサイト全体の専門性を正しく認識できません。構造に起因する主な問題は以下の通りです。

  • 階層が深すぎてクローラビリティが悪い
  • 内部リンクとアンカーテキストの配置が機械的で回遊性に欠ける
  • パンくずリストが実装されていない、または正しく機能していない
  • 古い記事や重複コンテンツが整理されていない
  • トップ・カテゴリ・記事ページ間の階層構造が最適化されていない
  • サイトマップ(HTML/XML)が更新されていない・非公開状態

このような構造的課題は、SEO設計の専門家によるサイト構造の再設計で解消可能です。具体的には、内部リンクの最適化・サイト構造の最適化などが効果的です。サイト全体の構造を整えることで、個々の記事の評価も相乗的に高まります。

課題⑤|CV導線が最適化されていない

オウンドメディアの成果が出ない理由の一つに、CV導線の最適化不足が挙げられます。どれだけ質の高い記事を作成しても、読者をコンバージョンに導けなければ、意味がありません。特に多いのは、次のようなケースです。

  • 記事内にCTAが設置されていない
  • 記事が応えているニーズとCVポイントが一致していない
  • ボタンの配置や文言に改善の余地がある

このような状態では、せっかく集めたトラフィックもCVにつながらず、ROIの低下を招きます。改善の第一歩は、どの記事でCVが発生していないのかを分析し、読者の動線を可視化することです。そのうえで、記事のテーマや読者の心理フェーズに合ったCTA文言を設計し、最適な位置に配置することが重要です。

CV導線の最適化は、小さな工夫の積み重ねによって、工数をかけずに大きな成果を生む重要な施策です。

オウンドメディアの改善につながる指標と施策

オウンドメディアの改善には、単なる感覚ではなく具体的な指標に基づいた施策判断が欠かせません。重要なのは「何を改善すれば成果に直結するか」を明確にすることです。多くの企業は、アクセスや流入にばかり注目しがちですが、SEOでは各指標の因果関係を読み解くことが成果につながります。

ここでは、オウンドメディアの改善に有効な代表的な指標と、それに対する具体的な施策を解説します。

オウンドメディアの改善につながる指標と施策
  • 指標①|検索順位・アクセス数
  • 指標②|直帰率・離脱率
  • 指標③|CVR(コンバージョン率)

指標①|検索順位・アクセス数

検索順位やアクセス数は、SEO施策の成果を最もダイレクトに反映する指標です。上位表示された記事は自然流入を安定的に生み出すため、まずこの2つの数値が健全に推移しているかを確認する必要があります。

改善に向けては、以下の4つの打ち手が有効です。

記事リライト(品質の強化)

既存記事の順位が停滞している場合、まず検討すべきはリライトです。特に、順位が「6位~20位」のいわゆる“壁”にいる記事は、わずかな修正で大きく順位を伸ばす可能性があります。改善の際には、以下のようなポイントに着目します。

  • 検索意図に対して網羅性が不足していないか
  • 情報が古くなっていないか
  • ファーストビューが魅力的か
  • 他記事との競合差別化が図られているか

単なる加筆ではなく、構成の根本見直しや、E-E-A-T(専門性・信頼性)の強化が重要です。構成案から修正を行い、再度Googleにインデックスされるように内部リンクや更新日も調整しましょう。

TDH調整(Title・Description・Heading)

検索順位が一定以上に上昇しているにもかかわらず、クリック率(CTR)が伸びない場合は、「TDH」の改善が効果を発揮します。

TDHとは、Title(タイトル)・Description(ディスクリプション)・Heading(見出し)の3要素を指し、検索結果や記事ページ上でのユーザー体験を左右する重要な要素です。CTRが低い場合、主に次の3つの課題が疑われます。

  • タイトルに検索意図とズレがある
  • ディスクリプションが要点を押さえていない
  • 見出し構成が論理的でない、または誘導性が弱い

改善の方向性は以下の通りです。

要素改善方針
Title数字や訴求語を明確に入れ、検索キーワードを左寄せで配置
Description120文字以内で「読むメリット・想定読者・要点」を含める
HeadingPREP構造に沿った小見出しで、本文の流れを明確にする

TDHの調整は、記事内容そのものを大きく変更せずとも検索結果での魅力を高める即効性の高い施策です。特に検索順位が6位以内でCTRが平均以下のページは、真っ先に見直すべき対象です。

記事制作(網羅性とテーマ性の強化)

検索順位を底上げするには、新規のSEO記事制作によるサイト全体のテーマ性強化も欠かせません。特に、ミドルワードやロングテールワードを網羅することは、メディアの信頼性向上に直結します。

制作時のポイントは以下の通りです。

  • 上位記事の構成要素を事前にSERP分析
  • 類似キーワード群をまとめて狙う構成
  • 関連する記事との内部リンク構築

網羅性が高い記事群を一貫した構造で展開することで、検索エンジンに専門性を認識させやすくなります。

被リンク獲得(テーマ性の強化)

検索順位が上がらない背景に、ドメイン全体の評価やページ単体の評価の不足があります。その場合、被リンク施策が必要です。高品質なリンクは、記事単体での評価だけでなくサイト全体の評価向上に寄与します。

有効な被リンク獲得の手法は以下の通りです。

もちろん、相互リンク営業や寄稿などを通じて積極的に被リンクを獲得していくことも有効です。しかしそれ以前に、高品質なコンテンツを前提としたうえで、自然リンクが集まりやすい構造を持った記事を設計することが重要です

たとえば、業界内で参照されやすいデータや比較表、網羅的なガイド記事などは、他サイトから自然に引用されやすく、長期的なSEO効果をもたらします。被リンク施策は外部対策のひとつですが、土台となるコンテンツの設計が伴っていなければ、持続的な評価にはつながりません。

内部リンクによる回遊導線の強化

検索順位に影響するが「内部リンク設計の最適化」です。1ページで完結させるのではなく、関連ページへ自然に誘導することで、ユーザーのサイト内滞在時間を延ばし、SEO評価も高まります。

実際に、海外の調査(ZYPPY SEO)によると、内部リンクをサイト内に設置した数とアクセス数に強い相関関係があることがわかっています。

引用元:23 Million Internal Links – SEO Case Study

この調査では、1,800のWebサイトの2,300万の内部リンクを調査しているため、信憑性は高いと言えるでしょう。

内部リンクが多いページはトラフィックが多くなる傾向があります。
たとえば、当社のデータセットでは、内部リンクが 0 ~ 4 個の URL の場合、Google 検索からのクリック数は平均 2 回のみでしたが、内部リンクが 40 ~ 44 個の URL の場合、その 4 倍のクリック数がありました。

引用元:23 Million Internal Links – SEO Case Study

上記のような調査からも分かるように内部リンクを設置することで、SEOに有利な影響を与えることができます。これは、内部リンクによって得られる以下の3つの効果によるものです。

重複コンテンツや低品質コンテンツの確認

重複コンテンツ低品質コンテンツは、検索順位の低下やインデックス除外の原因となるため、定期的な確認と改善が重要です。

重複コンテンツの確認には、Screaming FrogGoogle Search Consoleを活用し、類似URLや正規URLの設定ミスを検出します。また、CopyContentDetectorなどで他サイトとの一致もチェックできます。

低品質コンテンツの見極めには、文字数が極端に少ない、検索意図を満たしていない、直帰率や滞在時間が悪いといった指標が有効です。これらの問題が見つかった場合は、コンテンツの統合やリライト、noindex設定などの対策を講じましょう。

指標②|直帰率・離脱率(まとめ)

直帰率や離脱率は、ユーザー体験と検索意図の「ズレ」を可視化する非常に重要な指標です。検索順位やアクセス数だけでは見えにくい“読まれていない”という根本課題を浮き彫りにします。

そのため、流入改善よりも先に以下のような滞在促進施策を整備する必要があります。

記事のファーストビューの改善

直帰率が高い最大の原因は、ファーストビューで読者の意図に応えられていないことです。検索して訪れた読者は、冒頭数秒で「読む価値があるか」を判断します。その判断材料が明確でない場合、ページを即離脱してしまいます。よくランディングページではファーストビューで大事と言われますがSEO記事も同様です。

そのためには、記事の冒頭部分の以下の要素を徹底的に作り込むようにしましょう。

  • アイキャッチ
  • リード文
  • h1タグ(=タイトル)

特にアイキャッチに関しては、KNOWクエリなどで早く情報が知りたいユーザーが多い記事ではアイキャッチをそもそも設置をしないという手もあります。また、h1タグに値するタイトル部分もしっかり記事の内容がわかるようなフォントサイズで対応するようにしましょう。

ただ、リード文は奥が深く、かつ離脱率の上昇に大きく影響を及ぼします、具体的に離脱されやすいリード文の特徴として以下のようなものがあります。

  • 結論が後回しで導入文が長い
  • タイトルとの整合性がない内容から始まる
  • 読者にとっての“読むメリット”が冒頭に示されていない

こうした問題を解決するには、「結論ファースト」で構成することが基本です。導入文では、検索意図を想定した結論を提示し、その後に理由や根拠、本文の流れを示します。また、導入のすぐ下に目次を置き、記事の全体像を視認可能にすることで離脱リスクを軽減できます。

ページ表示速度の改善

ページ表示速度の遅さは、直帰・離脱の原因として最も見落とされがちな技術的要因です。Googleの調査によると、ページ表示に3秒以上かかると、ユーザーの半数が離脱するとされています。検索順位にも影響するため、早急な改善が必要です。

モバイルサイトの読み込みに 3 秒以上かかると、訪問が中止されます。

引用元:Mobile site load time statistics |Think with Google

特に注意すべき原因は以下の通りです。

  • フルHD以上の画像が非圧縮で読み込まれている
  • サードパーティスクリプト(広告・SNS連携など)が多い
  • モバイルページでもPC用CSSやJSがフル読み込みされている

こうしたボトルネックに対しては、以下の対応が有効です。

  • 画像はWebP形式に変換し、遅延読み込み(lazy load)を設定
  • 不要なJS・CSSは削除し、使用部分のみ読み込む形に変更
  • サーバー応答速度の改善(CDN導入やWAF・ホスティングの見直し)

改善効果は「PageSpeed Insights」で測定可能です。数値は明確に表れるため、改修前後の指標変化をもって社内提案・報告にも活用できます。表示速度の改善は、記事の内容に手を加えることなく離脱率を下げられるため、優先順位の高い“低コスト施策”です。

内部リンクによる回遊導線の強化

離脱率を下げるもう一つの有効手段が「内部リンク設計の最適化」です。1ページで完結させるのではなく、関連ページへ自然に誘導することで、ユーザーのサイト内滞在時間を延ばし、SEO評価も高まります。

回遊導線が弱いサイトでは以下の問題が起きやすくなります。

  • 関連情報が見つけづらく、他サイトに流れてしまう
  • 滞在時間やPVあたりの平均読了数が伸びない

これらを防ぐためには、以下の設計を意識すべきです。

配置箇所推奨施策
記事下部関連記事を2〜3件表示し、「次に読むべき」記事を提案
本文中テキストの文脈に自然にリンクを挿入(アンカーテキスト明確化)
サイドバー・フッター人気記事やカテゴリ別記事などを静的に表示して導線強化

また、Googleに対してもテーマ性・専門性が伝わりやすくなり、記事単体では評価されにくいキーワードでも、サイト全体の文脈によって上位表示が可能になります。内部リンクは「SEO」「UX」「回遊性」すべてに効果をもたらすため、記事公開時の必須項目として設計段階から組み込むべきです。

指標③|CVR(コンバージョン率)

コンバージョン率(CVR)は、オウンドメディアの成果に直結する重要指標です。CVRが低い場合、いくらアクセス数があっても成果にはつながりません。以下では、CVRを改善するための代表的な4つの施策を解説します。

CVRの高い対策キーワードを増やす

CVRの改善において、まず取り組むべきは「CVにつながりやすい検索キーワードを狙った記事を増やす」ことです。いくら流入数が多くても、検索意図がコンバージョンと遠いキーワードでは、成果にはつながりません。CVRを最大化させるには、そもそも入り口となるキーワード設計を見直す必要があります。

具体的には、以下のような視点でキーワードを見直します。

  • 検索意図が「情報収集」ではなく「比較・検討・導入」に近いキーワードか
  • 過去のCV実績がある記事のキーワードは何か
  • 商材・サービスに対する指名検索やニーズが顕在化したクエリを拾えているか

以下に、読者の検討段階ごとのキーワード分類例をまとめます。

検討フェーズキーワード例傾向とCVRの相性
潜在層オウンドメディア とは
コンテンツマーケティング 必要性
CVRは低いが将来的なリードには有効
準顕在層オウンドメディア 成功事例
オウンドメディア 運営方法
中程度のCVR、適切なCTA設計が必要
顕在層オウンドメディア 制作会社
オウンドメディア 運用 費用
CVRが高く、優先して対策すべき

このように、SEO戦略を立てる際には「検索意図とフェーズ」を明確に分類し、CVに近いキーワードからコンテンツ制作を進めることが肝心です。特に、限られたリソースで最大の成果を目指すなら、検索ボリュームではなく「CVRの高さ」を優先したキーワード選定が効果的です。

CTA(Call To Action)の最適化

CVRを向上させるうえで、CTA(Call To Action)の最適化は最も即効性の高い施策のひとつです。CTAとは、ユーザーに行動を促すためのボタンやリンクのことで、たとえば「無料相談する」「資料をダウンロードする」といった文言が該当します。

しかし、多くのオウンドメディアでは、記事の内容とCTAの内容が一致していない、またはボタンが目立たない、文言に具体性がないなど、CVを逃してしまう設計になっているケースが少なくありません。

まず見直すべきは、CTAの文言・配置・デザインの3点です。以下に、改善の視点を整理します。

改善項目課題の例改善ポイント
文言「お問い合わせはこちら」など抽象的「◯◯の資料を今すぐダウンロード」など具体的で行動的な表現にする
配置記事下にしか設置されていないファーストビュー・途中・記事下と複数設置し、スクロール率に対応する
デザインボタンが背景と馴染んでいる色や大きさにメリハリをつけて視認性を高める

また、記事の検索意図とCTAの内容にズレがある場合、どれだけ文言やデザインを改善しても効果は薄れます。たとえば、「オウンドメディア 成功事例」というキーワードで訪れたユーザーに対して「料金シミュレーション」のCTAを出しても、温度感が合わないためクリック率は上がりません。

このようなズレを防ぐためには、記事ごとに読者の検索フェーズを想定し、それに合ったCTAを設置することが大切です。

マイクロコンバージョンの設置

CVR改善においては、いきなり「問い合わせ」や「資料請求」といったメインCVだけを狙うのではなく、中間ステップとなる「マイクロコンバージョン」の設置が重要です。これは、ユーザーとの接点を複数設けることで、徐々に検討フェーズを進めてもらうための施策です。

マイクロコンバージョンとは、たとえば以下のような行動を指します。

  • ホワイトペーパーやチェックリストのダウンロード
  • メールマガジン登録
  • 関連記事へのクリック
  • SNSフォローやシェア
  • 診断コンテンツ・価格シミュレーターの利用

これらの行動は、ユーザーにとって心理的ハードルが低く、かつサービス提供者側にとっては「見込み顧客」としての興味関心の深度を可視化できる接点です。

とくにBtoB領域では、初回訪問時にいきなりサービスの問い合わせや導入相談に至ることは稀です。そこで、段階的に情報提供やエンゲージメントを設計することで、検討の土台を整える役割をマイクロコンバージョンが担います。

施策を効果的に機能させるには、記事の検索意図や読者フェーズに応じた設置場所と内容の設計が不可欠です。以下のように整理することで、コンバージョンポイントの最適化が可能になります。

読者フェーズ想定ニーズ有効なマイクロコンバージョン
潜在層概要の理解・事例の確認チェックリストDL・関連記事への誘導
準顕在層比較検討・選定判断メルマガ登録・PDF資料DL
顕在層問い合わせ前の不安解消よくある質問・価格シミュレーター

設置後は、Google Analyticsやヒートマップツールを使って各ポイントのクリック率・遷移率を継続的に測定し、PDCAを回す体制が重要です。たとえば、LPと連動する形で「3クリックでCV」まで導線を構築すれば、途中離脱の改善にもつながります。

このように、メインCVだけでなくマイクロCVを設けることにより、リード獲得数の最大化とユーザー育成の両立が可能になります。

EFO改善

コンバージョン率(CVR)を引き上げる上で、エントリーフォーム最適化(EFO:Entry Form Optimization)は無視できない領域です。どれほど記事で関心を高めても、最終的にフォーム入力で離脱されてしまってはCVにはつながりません。特にBtoB領域では、必要項目が多い・入力ハードルが高いという理由で機会損失が発生しているケースが少なくありません。

才流の事例

EFOの目的は、「ストレスなく・安心して・スムーズに入力できるフォーム」を構築することにあります。フォーム改善では、以下のようなポイントが代表的です。

  • 入力項目の削減
  • ラベルの簡素化とわかりやすさの確保
  • 入力エラー箇所の即時ハイライト表示
  • 入力例の提示(プレースホルダー)
  • スマホ表示での入力支援(タップ領域、キーボードタイプの最適化)

特に重要なのは「入力項目の削減」です。マーケティング担当者は多くの情報を一度に取得したくなりますが、CVR向上の観点では“取得する項目は最低限に”が鉄則です。どうしても取得すべき項目が多い場合は、ステップフォーム(2段階フォーム)や選択式項目を活用するなどして、心理的な負担を軽減する工夫が求められます。

オウンドメディアの課題特定から改善に向けた手順

オウンドメディアを継続的に成長させるためには、「課題を特定し、改善し、再検証する」というPDCAサイクルが欠かせません。しかし多くの企業では、この流れが曖昧になり、場当たり的な施策に終始しているケースが少なくありません。

成果を出すメディアの共通点は、「評価指標に基づく課題の言語化」と「再現性のある改善手順」が確立されている点です。ここでは、SEOオウンドメディア改善の全体像を5ステップに整理し、実務で運用できる形に落とし込みます。

オウンドメディアの改善につながる指標と施策
  • STEP①|現状分析・把握
  • STEP②|課題の特定
  • STEP③|改善施策の洗い出し
  • STEP④|改善施策の優先順位をつける
  • STEP⑤|改善施策の実行と効果測定

STEP①|現状分析・把握

初めに行うべきは、オウンドメディアの「現在地」を客観的に把握することです。改善は、数値と構造の両面から現状を可視化することで初めて成立します。感覚に頼った判断では、貴重なリソースを無駄にしてしまう恐れがあります。

まずは自社の状況を分析し、目指しているKPIとの差分を生み出している要因を洗い出しましょう。あらかじめ定めた指標を丁寧に確認し、なぜKPIを達成できていないのかを明確にすることが重要です。

GoogleサーチコンソールやGoogleアナリティクスを活用し、記事ごとの流入数・CTR・CV数を確認しましょう。そのうえで、どの指標が足を引っ張っているのかを特定し、「なぜ解決できていないのか」を論理的に分析することが求められます。

STEP②|課題の特定

分析によって得られた情報をもとに、オウンドメディアが抱える課題を言語化していきます。このフェーズは、「なんとなく良くない」という感覚から脱却し、施策の優先順位を明確にするための重要な段階です。課題特定においては、以下の3つの視点を整理することが効果的です。

  • 成果指標のうち、どの数値が未達か(例:CVR、検索順位など)
  • その指標に影響を与えている構造的・コンテンツ的な要因は何か
  • 競合と比較して、何が不足しているのか、または過剰・ズレているのか

そこで大事になってくるのが、競合分析です。なぜ自社にだけボトルネックが発生しているのか、その差分を埋めるためには何が必要なのか──上手くいっている競合をベンチマークすることで、改善のヒントが得られます。

弊社で使用している課題整理フォーマット

たとえば検索順位に課題がある場合は、以下の3つの観点から自社の不足点を洗い出していきます。

  • 被リンクの質と量
  • コンテンツの網羅性や独自性
  • サイト内部構造の最適化状況

競合との差分を分析するには、AhrefsやUbersuggestなどのツールを活用すると、見落としていた機会領域(特にミドル・ロングテールキーワード)を可視化できます。

この分析フェーズでは、「良し悪し」ではなく「ズレているかどうか」の視点で整理することが重要です。ここを曖昧に済ませてしまうと、「リライトしても効果が出ない」「記事を増やしても成果が伸びない」といった袋小路に陥ってしまいます。

定量指標をもとに定性要因を掘り出し、「いま最優先で取り組むべき課題は何か」を一文で言語化できるレベルにまで落とし込むことが理想です。

STEP③|改善施策の洗い出し

課題が特定できたら、次に行うのは、それを解決するための具体的な施策を「出し切る」工程です。このフェーズでは、量を恐れずにアイデアを洗い出し、後の取捨選択に備えることが重要です。

特に意識すべきポイントは、内部対策外部施策の両面から改善を検討することです。いずれか一方に偏った施策では、思うような成果が得られないケースが多く見受けられます。具体的な施策については、別記事で「SEO施策の種類」についてて詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

改善案は、以下のような視点から網羅的に洗い出していきましょう。

領域主な施策例
コンテンツSEO検索意図の再設定、構成リライト、CTA改善、マイクロCV設置、情報の信頼性強化
テクニカル内部リンク設計、表示速度改善、パンくず最適化、カテゴリ再編成、EFO改善
外部SEO被リンク獲得戦略、比較系記事の整備、外部寄稿・プレス連携の強化

この段階では、アイデアを取捨選択せず「出し切る」ことが重要です。思いつく限りの施策を洗い出し、後から整理・精査する前提で進めましょう。洗い出した施策は表形式でまとめ、「どの課題に対応する施策なのか」を明記して紐づけておくと、後の優先順位付けがスムーズになります。

弊社の場合、思いつく限りの施策を以下のようにリストで徹底的に洗い出すようにしています。

なお、この改善施策の立案には、過去に自社で実行した施策の成功・失敗事例や、他社で成果を上げたベストプラクティスなど、実践的な知見が不可欠です。属人的なひらめきに頼るのではなく、再現性のあるノウハウをもとに組み立てていくことが求められます。

STEP④|改善施策の優先順位をつける

施策を洗い出したら、すべてに着手するのではなく、ROIと実現可能性の観点で優先度を整理します。限られた工数の中で最大成果を上げるために、実行順の設計は不可欠です。

優先順位の決め方には、以下のような基準を活用します。

評価軸内容
効果インパクト(Impact)改善対象が全体に与える影響度(例:CVが倍増する見込み)
実行難易度(Ease)工数・コスト・関係部門の巻き込み工数
即効性(Speed)施策実施から成果までの反映速度

この3つの軸で各施策にスコアを付けて分類し、「即効性があり、工数も少なく、成果に直結する施策」から優先的に着手していきます。
一方で、「影響が小さいにもかかわらず、コスト(工数)が高い施策」については後回しにする方針です。

前ステップでご共有したリストに、以下のような項目を追加し、優先度を定量的に管理できる形に整備していきます。

優先度設計が不在だと、「重いが成果が不明な施策」に人手を割き、最重要課題を後回しにする事態に陥ります。

STEP⑤|改善施策の実行と効果測定

施策を実行したあとは、改善の結果を定量的に検証しなければ意味がありません。Google Search ConsoleやGA4などのツールを活用し、「何がどの程度改善されたか」を追うことが、次の施策精度を高めます。

改善効果の可視化は、下記のようなシートで記録しておくと便利です。

URL施策内容実施日対象指標BeforeAfter差分
/exampleCTA改善+導線見直し6/3CVR1.2%2.4%+1.2pt

成果が出た施策は「型化」して横展開し、出なかった場合は原因を特定して改善策を再設定します。これを1か月ごとに繰り返すことで、オウンドメディア全体の成長曲線を上げることが可能になります。

また、効果が出るまでのラグがあるSEO施策では、**定点観測(4週・8週・12週)**の設計をしておくことも重要です。改善の“結果を取りにいく運用体制”が、メディアの継続的な成果に直結します。

まとめ

オウンドメディアを改善し、成果へとつなげるためには、「課題の特定」と「指標に基づいた改善」の両輪が欠かせません。闇雲に記事を増やすだけでは成果は上がらず、むしろリソースを浪費する結果になりかねません。

本記事で示したとおり、改善の第一歩は、自社メディアが抱えるボトルネックを数値と構造の両面から可視化することです。検索順位、直帰率、CVR、売上といった各指標に注目し、それぞれに応じた対策を講じることで、PDCAサイクルは機能し始めます。

さらに、改善策の実行には、記事単体ではなく、サイト全体・商品設計・営業導線を含む全体最適の視点が求められます。オウンドメディアを「単なる集客装置」から「利益を生むメディア」へと進化させるためには、戦略と運用体制の両面を磨くことが必要です。

もし、現状の運用で課題や不安がある場合は、ぜひ『検索順位の海賊』までお問い合わせください。専門コンサルタントが、貴社に最適な改善プランをご提案いたします。


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