オウンドメディアにおける平均CVR(コンバージョン率)は、業種や商材の単価、さらには購買意思決定の複雑さによって大きく異なります。
一般的にBtoC領域では比較的高く、9%近い数値を記録するケースもある一方で、BtoB領域では1〜5%程度にとどまる傾向が見られます。これは、BtoBでは意思決定に時間がかかるうえ、検討関与者が複数存在することが影響していると考えられます。
さらに、同じBtoBやBtoCの中でも、商材の単価によってCVRは大きく変動します。以下は、BtoB・BtoC別に単価を加味した平均CVRの一例です。
カテゴリ | 単価分類 | 検索CVR |
---|---|---|
BtoB | 低単価 | 3.27% |
高単価 | 4.70% | |
BtoC | 低単価 | 4.76% |
高単価 | 2.47% |
この記事では、オウンドメディアにおけるCVRの平均値を業界別・CVポイント別に整理し、改善のための具体的施策も解説します。
- 業界別に見るCVRの平均値とその目安
- CVポイントの種類ごとのCVRの違い
- CVRを改善するための導線・UI・CTAの見直し方法
オウンドメディアのCVRの計算式についておさらい
オウンドメディアにおけるCVR(コンバージョン率)とは、記事やページを訪れたユーザーのうち、問い合わせや資料請求、サービス申込みといった具体的な成果に至った割合を示す指標です。単にアクセスを集めるだけでなく、「読者をいかに次のアクションに導けたか」を可視化する目的で用いられます。
CVRの高低は、ページ構成、CTA(行動喚起)の設計、遷移先のLPの質など、ユーザー導線全体の最適化状況を反映するため、オウンドメディアの成果指標として極めて重要です。特にBtoB領域では、検討期間の長さや意思決定プロセスの複雑さが影響し、CVRの設計や評価には業界別・商材別の前提理解が求められます。
CVRの計算式
CVR(コンバージョン率)は、訪問者のうち実際に成果地点(問い合わせ・購入・申込みなど)に到達した割合を示す指標です。計算式は以下のとおりです。
- CVR(%)=(コンバージョン数 ÷ 訪問者数)× 100
この指標は、単に集客できているかどうかではなく「訪問後にどれだけ行動につながったか」を可視化するものであり、LPや記事、導線設計の質を測る重要な判断材料です。
ただし、CVRは商材の価格帯や検討期間、ユーザーの目的によって大きく異なるため、業界平均や商材特性に即した評価が求められます。
CVRの計算式と考え方
加えて、オウンドメディアにおける実際のコンバージョン数(CV数)は、次のような分解式で捉えることができます。
- CV数 = PV(またはUU) × CTAのCTR × サービスページのCVR
この式は、オウンドメディア内の動線設計を3つの要素に分けて最適化できることを意味します。つまり、
- ①流入数(PV/UU)を増やす
- ②CTAのクリック率(CTR)を高める
- ③サービスページでのCVRを改善する
という3段階の施策がそれぞれCV数に直結します。CVR単体ではなく、構成要素全体での評価と改善が成果向上の鍵となります。
オウンドメディアのCVR(コンバージョン率)の平均は1〜3%
オウンドメディアにおけるCVR(コンバージョン率)は、記事やLPから何らかの行動(資料請求・問い合わせ・購入など)に至る割合を示す指標です。一般的には1〜3%程度に収まるとされています。
ただし、実際のCVRはメディアの構成や商材の性質によって大きく異なり、一律には語れません。特に、BtoBとBtoC、そして商材の単価帯によって傾向が明確に分かれます。
たとえば、検討期間が長く複数の決裁者を必要とするBtoB商材は、全体平均ではCVRが1%前後とされることが多い一方で、単価の違いによっては3〜4%台まで向上するケースもあります。BtoCにおいても、低単価な商材では比較的高いCVRが見込まれますが、高単価な商品ではユーザーの比較検討が慎重になる分、CVRは下がる傾向にあります。
カテゴリ | 単価分類 | 検索CVR |
---|---|---|
BtoB | 低単価 | 3.27% |
高単価 | 4.70% | |
BtoC | 低単価 | 4.76% |
高単価 | 2.47% |
BtoBのCVR平均:3〜7%
BtoB領域におけるCVR(コンバージョン率)は、商材の単価や検討期間によって大きく左右されます。特に高単価商材では、導入に際し複数の意思決定者が関与するため検討期間は長くなる一方、ニーズが明確な場合はCVRが高くなる傾向があります(平均4.70%)。
一方で、低単価商材でも導入プロセスが煩雑なケースが多く、平均CVRは3.27%にとどまります。業界別では法律関連や就職支援、金融・保険分野で5〜7%と高い数値が見られ、意思決定の即時性やニーズの強さがCVRに反映されていると考えられます。
業界カテゴリ | 平均CVR(検索) |
---|---|
BtoB(法人向け) | 3.04% |
教育 | 3.39% |
就職支援サービス | 5.13% |
金融・保険 | 5.10% |
医療・ヘルスケア | 3.36% |
産業系サービス | 3.37% |
法律関連 | 6.98% |
テクノロジー | 2.92% |
BtoCのCVR平均:1〜4.5%
BtoC領域では、ユーザーの意思決定が比較的速く、衝動的な行動も多いため、全体としてCVRは高めの傾向があります。特に低単価商材では検索CVRが平均4.76%に達し、マッチング系やコンシューマーサービス分野では9%前後と非常に高い水準を示します。
一方、高単価商材では比較検討に時間がかかるため、平均CVRは2.47%と抑えられます。業界別に見ると、不動産やECのような高関与型商材では意思決定に慎重さが求められ、CVRが低下する傾向があります。
業界カテゴリ | 平均CVR(検索) |
---|---|
アドボカシー(支援活動) | 1.96% |
自動車 | 6.03% |
コンシューマーサービス | 6.64% |
出会い・マッチング系 | 9.64% |
EC(電子商取引) | 2.81% |
家庭用品 | 2.70% |
不動産 | 2.47% |
旅行・観光 | 3.55% |
オウンドメディアのCVポイントの種類別での平均値
CVR(コンバージョン率)は、単に「高ければ良い」というものではなく、何をゴールとするかによって期待値が変わります。オウンドメディアでは主に以下のようなCVポイントが設定され、それぞれで平均値に大きな差があります。
コンバージョンポイント | 想定CVRの目安 |
---|---|
問い合わせ・購入 | 0.2〜1.5% |
メルマガ登録 | 2.0〜5.0% |
LINE登録 | 3.0〜7.0% |
ホワイトペーパーDL | 1.5〜2.0% |
これらはCVの難易度に比例してCVRも変動します。たとえば、商品の購入や商談獲得はハードルが高くCVRは低くなりがちです。一方、無料で提供できる資料ダウンロードや登録系のCVは、比較的CVRが高く出る傾向にあります。
種類①|問い合わせ・購入
「問い合わせ」や「購入」など、直接的なビジネス成果に直結するアクションは、一般的にCVRが最も低くなる傾向があります。特にBtoB商材の場合、検討期間が長期に及ぶため、問い合わせ数そのものが少なくなるのは自然なことです。また、オウンドメディア全体の訪問者数(UU)全体でCVRを集計すると、CVに繋がらない記事も含まれているため低く出る傾向があります。
弊社代表が運営していたオウンドメディアや、支援先クライアントの実績データをもとに集計したところ、以下のような平均CVRが確認されました。
区分 | 想定CVRの目安 |
---|---|
BtoB 問い合わせ | 0.5〜1.5% |
BtoC 商品購入 | 1.0〜2.5% |
高単価サービス | 0.2〜0.8% |
問い合わせや購入CVは、最も重要である一方、他のCVポイントと比較して流入数とのギャップが生まれやすいです。そのため、CVRの評価は「獲得単価」や「LTV」と合わせて総合的に判断する必要があります。
種類②|メルマガ・LINE登録
ナーチャリング目的で設定されることの多いメルマガやLINE登録は、比較的CVRが高くなるポイントです。特に、ユーザーがコンテンツに一定の満足を得ている場合、登録への心理的ハードルは低くなります。
コンバージョンポイント | 想定CVRの目安 |
---|---|
メルマガ登録 | 2.0〜5.0% |
LINE登録 | 3.0〜7.0% |
LINE登録はスマホ経由でのCVが多いため、スマホUIの最適化やLP内での訴求タイミングの設計が効果を左右します。また、登録後のステップ配信設計と合わせて、トータルのCV設計を行うことで、CVR改善につながります。
種類③|ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、BtoBにおける商談創出を目的としたCVポイントとして設計されるケースが一般的です。価値のある資料を無料で提供する代わりに、見込み顧客のリード情報を取得する形式のため、CVRは比較的高くなる傾向があります(ただし、ニーズとマッチしていないホワイトペーパーを設置した場合、CVRは大きく低下します)。
以下の数値は、記事内容とホワイトペーパーの内容が一定の整合性を保っていたケースにおいて、弊社代表が運営するオウンドメディアで記録された実績です。
コンバージョンポイント | 想定CVRの目安 |
---|---|
ホワイトペーパーDL | 1.5〜2.0% |
ただし、ホワイトペーパーのCVにおいては、CV数の量よりもリードの質が重要です。CVRを過度に高めようとすると、営業効率の悪いリードが増加し、結果的に商談や受注につながらないケースも多くなります。そのため、フォームの設計やダウンロード前の情報提供の質が、コンバージョンの質を左右する重要な要素となります。
オウンドメディアのCVRを改善するためにできること
オウンドメディアのCVRが1〜3%を下回っている場合、多くのケースで「コンテンツの質」や「検索意図との乖離」だけでなく、導線やUIの課題も関係しています。
CVRは自然に高まるものではなく、意図的に設計し、細かな改善を積み重ねることでようやく向上します。代表的な改善策として、以下の4つが挙げられます。
改善①|CVに至るまでの導線設計の見直し
最も多くのCVR改善余地があるのが、ページ内およびサイト全体の導線設計です。検索で記事にたどり着いたユーザーが、CVまで辿り着けていない構造上の問題を見直す必要があります。
よくある失敗例として、「良い記事を書いたのにCVがゼロ」という状態があります。これは、ユーザーがどこにも誘導されていない、あるいは誘導先が不明確である可能性が高いです。
改善の基本は以下の3点です。
- ページ下部だけでなく目次上やアイキャッチ下にCTAやリンクを設置する
- サービスページへのCTAを自然な文脈で挿入する
- スマホ・PCの両方でCVポイントが視認しやすい位置にあるか確認する
また、記事単体での完結を避け、読了後の行動が明確になるように「次に読むべき記事」「相談できるページ」への導線を提示すると、自然な形でCVR向上につながります。
改善②|問い合わせフォーム改善(EFO)
EFO(Entry Form Optimization)とは、フォームの入力完了率を高めるための改善施策です。せっかくユーザーがフォームにたどり着いても、入力が面倒だったり不明点が多いと離脱に繋がります。具体的な改善ポイントは次の通りです。
- 入力項目数を最小限に絞る(3〜5項目が推奨)
- エラーメッセージをリアルタイムで表示する
- PC・スマホどちらでも操作しやすいUI設計にする
特にBtoBの問い合わせフォームでは、営業部門の都合により入力項目を過剰に設定してしまう傾向があります。
しかし、CVRを高める観点では、「必須項目を最小限に抑え、補足情報は任意入力とする」構成のほうが、フォーム途中での離脱を防ぎやすくなります。営業とマーケティングの双方が歩み寄り、全体最適を意識した入力項目設計を行うことが重要です。
改善③|CTA(Call To Action)の改善
CTA(Call To Action)はユーザーに明確なアクションを促すための導線であり、位置・文言・デザイン次第でCVRは大きく変わります。どれだけ良いコンテンツでも、適切なCTAが設置されていなければ、CVにはつながりません。
改善アプローチは次の3点です。
- ボタンは目立つ色・大きさ・位置に設置する
- 文言は「無料で相談する」「30秒で入力する」など具体性を持たせ動詞で表現する
- ユーザーの検索意図や読み進めた状態に合った内容にする
特に記事中や記事末尾に設置するCTAは、読了時のモチベーションと一致しているかが重要です。「とりあえず設置したCTA」では反応が鈍くなります。ユーザー心理とCTA設計を連動させることで、自然なCV導線を作ることが可能です。
改善④|CVポイントの数を増やす
CVポイントを「問い合わせ」や「購入」に限定している場合、多くの見込み顧客を取りこぼしてしまう可能性があります。ユーザーの関与度に応じた複数のCVポイントを設けることで、段階的なCV導線を構築でき、結果として全体のCVRを底上げすることが可能になります。
設置すべきCVポイントの例として、以下のような種類を用意しておくとよいでしょう。
- 無料相談予約
- メルマガ登録
- 資料請求
- セミナー申し込み
また、フローティングバナーなど、CV誘導のフォーマットを多様化させることもCV数の増加に効果的です。
すべてのCVを網羅的に設置する必要はありませんが、自社商材の検討プロセスに応じたCVポイントを最低でも2〜3種類は用意しておくことが望ましいです。特に、CVRの低い主要CV(例:有料プラン申し込み)を補完する目的で、サブCVの導入は非常に有効です。
まとめ
オウンドメディアのCVR(コンバージョン率)は、平均で1〜3%程度が目安とされます。しかしこの数値は、業界や設定するCVポイントの種類によって大きく変動するため、一概に高低を評価するのは適切ではありません。重要なのは、自社の商材やターゲット層に即したCV設計を行い、それに見合った指標を持つことです。
また、CVRが低い場合でも「質の高いリード」が取れているのであれば、それは必ずしも失敗ではありません。逆に、CVRが高くても営業につながらないケースでは、成果と直結しない「表面的な指標」に振り回されている可能性があります。
CVRを改善したい場合は、まず以下を実行することから始めましょう。
- 現在のCVポイントを洗い出す
- 各CVポイントの目的と役割を再定義する
- ユーザーの行動と照らし合わせて導線・UIを最適化する
CVR改善は、一朝一夕では成果が出ません。しかし、意図を持った改善を継続することで、CV数の最大化と営業効率の向上を同時に実現できます。
自社のCVRが適切かどうか判断が難しい場合は、業界水準や競合他社の状況と照らし合わせて評価するのが有効です。もし、自社のオウンドメディアで「何が問題か分からない」という状況であれば、ぜひ一度ご相談ください。分析・設計段階から支援可能です。